乱「主さーん!これは捨てても良い?」


『…そうですね。後で燃やしましょう。ゴミ置場までお願いします』


乱「はーい」


鯰「鍛刀部屋と刀装部屋、終わりました!」


骨「次は何処を?」


『ありがとうございます。では、厩をお願いしても?先程、手違いで馬が先に届けられてしまったので』


鯰「厩!!わかりました!行こう骨喰!」


骨「ああ(そんなに引っ張らなくても…)」


『馬はボックスの横に繋いでいるので、終わったら移動させてあげてください』


鯰「了解です!!(馬糞集めるぞー!!)」



皆さんと契約を結び(また敬語と″様″付けを指摘された。解せぬ…)、現在本丸を大掃除中。

何処から引っ張り出して来たんだか、皆さんは内番用の服に着替えている。着物に襷掛けだったり現代風のジャージだったりと様々で、なんだか時代を感じさせない者たちが多いような…。因みに私はジャージだ。

身体の大きい岩融と太刀や大太刀には、そこかしこに空いている本丸の壁や屋根の修復をお願いし、短刀と脇差、打刀には部屋の掃除を頼んだ。もういい加減綺麗な部屋で寝たいでしょうし。私は乱と前田と一緒に畳を拭いているところだ。



加「あーるじ!」


『…加州』



呼ばれると同時に背中に加わった重み。加州が後ろから抱きついてきた。手は洗ってきたようで少しだけ湿っていて冷たい。



加「向こうの廊下、終わったよ!」



誉めて誉めてと副音声が聞こえる気がする。ついでに言うと耳と尻尾も見えるような…。

少し迷った末、「お疲れ様です」と言いながら頭に手を伸ばしてそっと撫でてみると加州はびっくりしたように目を丸め、でも嫌ではなかったようで微笑んでスリスリと頬擦りしてきた。小動物みたいだ、可愛い。



大和「あーっ!清光ばっか狡い!」


加「へへーん、早い者勝ち!」



加州の後ろから、同じ廊下の掃除を頼んでいた大和守もやってきた。私を挟んで睨み合う。
…刀剣って撫でられるのが好きなんだろうか?



『大和守も、お疲れ様です』


大和「!えへへ」



大和守の頭も撫でてあげたら少し頬を染めて柔らかく笑った。二人とも背が高くて羨ましい。…いや、彼らが平均的なわけで私が小さいのだけど。



大和「あ、そうそう僕たち主を呼びに来たんだ」


『何かありましたか?』


加「長谷部が起きたんだよね」


『へし切長谷部様が?』


加「うん。って、長谷部も″様″付けしない方が良いと思うよ?主従関係には特に厳しい奴だし」


『…本人の了承を得てからやめます』


大和「主もその辺は厳しいんだね。で、僕たちが部屋の前を通った時に燭台切さんに主を呼んでって頼まれてさ。今行ける?」


『はい、大丈夫です。…乱、前田』


乱「なーに?」


『へし切長谷部様のところに行ってきます。何かあったら呼んでください』


乱「わかった!ここはボクらに任せて!」


前「行ってらっしゃいませ」



素直に頷いて続きに取りかかる二人を見てから、加州と大和守と共にへし切長谷部様のいる部屋に向かった。


 

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