わかっていたけど、時間というものはあっという間に過ぎ去ってしまうものだ。さっき鳥居で出迎えられたばかりだと思っていたのに、もう食事が済んでしまった。

ずっと話す内容を考えていたからだろうか、これまでの行動が思い出せない。……光忠、すみません。何を食べたかも記憶に無いです。美味しかったことだけは覚えています、はい。

食器洗いを済ませたメンバーも広間に集まり、全員の視線が私に集中したのを感じて私は前に座った。この広間で一番上座にあたる、一段高い場所。今日の出陣メンバーの発表等、主として彼らと接する時の場所だ。

だからだろうか、何か命じられるのだと思ってか彼らはじっと耳を澄ませて私の言葉を待っている。



『そんなに身構えなくても、命令ではありませんから大丈夫ですよ。集まってもらったのは今日の会議の報告と、新たに与えられた特別任務、そして"私"について知ってもらうためです』


三「主について…とな?」


『はい。順を追って、まずは会議の報告から』



と言っても"会議"なんてただの名目で、本来の目的は審神者たちがちゃんと業務をこなしているのかどうか…刀剣男士たちの見定めだ。

勿論、何かあればそれについて議論するのだろうけれど、今日は特に気にするような内容ではなかった。



『薬研と大和守は本当にお疲れ様でした』


薬「ああ」


大和「うん」


加「政府って毎月そんなことしてたの?俺たち前任がいた時には行ったこと無かったよね?」


長「そうだな」


『それは恐らく、前任が何かしら理由をつけて欠席していたからでしょう。風邪をひいたとでも言えば政府には通用してしまいます』


鶴「おいおい、そんなんで欠席できるもんなのか?」


『本丸の結界は審神者が張ったもの。病に倒れれば多少は脆くなってしまいますから、政府はその審神者の外出を控えさせます』



弱った本丸に敵が攻め込んで全滅なんてされたら堪らない。だから政府は審神者の健康状態を最優先に考えている。

それでも毎月の如く欠席していれば不信に思うだろうが、前任がどうやって政府を欺いていたのかは知らない。
そもそも、政府だって誰もが真黒さんのような真面目な(やる時はやる)人間ではないし、寧ろ"本丸監視部"なんて名ばかりで悪どい顔と思考を持った人間なんか沢山いる。騙す以前の問題もあったのだろう。



『会議についてはそれくらいです。毎月ありますから、その時はまたよろしくお願いします』


加「よぉし!次のジャンケンは負けないからね!」


乱「ボクも主さんとお出かけしたいなぁ」



あ、はい。ジャンケンする気満々ですね皆さん。政府に見られることに関しては何も気にしてないんですね。ジャンケンでそんなに盛り上がるとは驚きました。


 

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