「あるじさま!」
「主さん大丈夫?」
「…、はい。大丈夫です」
「本当に?」
「本当です。浄化、ありがとうございました。皆さんは大丈夫ですか?」
「どうってことねぇよ、あれくらい。最後、何か言われてなかったか?」
「お礼を言われました」
ありがとう、と。″最後″にはそう言っていた。
けれど、その前に紡がれた言葉は…
「…………」
それは後でまた考えるとしよう。
「それにしても主さん、どうして審神者の中に結界の呪符があるってわかったの?」
「この本丸の中で一番異質だと思っただけですよ」
「さにわのしたいがですか?」
「最初にこの部屋に訪れた時は失念していましたが、初めに頂いていた資料には、あの審神者との連絡が途絶えたのは半年前だと書いてありました」
「半年…?それにしちゃあ…」
「はい。あれでも死体の状態が良すぎだったのです」
半年間も放置されていたのなら、もっと腐敗していたっておかしくはない。皮膚が剥がされていたのだから尚更だ。
乾燥していれば数ヶ月から一年で白骨化するが、この本丸の空気は嫌というほど湿気が強い為、白骨化は遅れていたのだろうけれど。
でも、だとしても…、あの触った感覚はまるで…
(ついさっき死んだばかりのようだった…)
中は、とても生温かかった。ベタベタした血の感じも半年間外気に晒されていたのに生々しかった。
「本丸の結界を他人が張る場合、そこの主たる審神者の血が必要になります」
「だからさにわがあやしいってわかったんですね」
「はい」
最初に来た時によく見ておくべきだった。先に気づいていれば、時間遡行軍が溢れることもなく今頃は厚藤四郎にだけ集中できていたのに。
…後悔していても仕方ない。審神者の浄化も終わったし結界も解けたけれど、まだ仕事は残っている。
「今度こそ、厚藤四郎を救いに行きましょう」
夜明けまであと少し。
「じゃ、行くか。厚に会ったら一発お見舞いしてやらねぇとな」
「は?」
「あ、ボクも!」
「え?」
「ふたりとも、あるじさまと青江をみまちがえたことをねにもっているんですよ」
「え、いや別に一発お見舞いなんて…。第一今の彼は言うなれば状態異状中なのですし、見間違えてもらう為にやったのですからそんなこと気にしなくても…」
「「する!!」」
「…諦めた方が良いと思う」
「…………」