「「「「修行?」」」」


「はい」



短刀たちの声にこくりと頷く。
これは昨夜、私が部屋で寛いでいる時にこんのすけから聞いた話だ。










「きわめ?」


「はい。現在短刀から順に戦力強化対策として行っているのが極の修行です」



こんのすけ曰く、時間遡行軍の攻撃が増えるにつれ強さも増してきているとのこと。更に同じ時代を何度も訪れることによって検非違使の出現も増えている。普通の鍛練だけでは、いつこちらが劣勢に立たされるかもわからない。

そこで発案されたのが刀剣男士修行計画。

刀剣男士をそれぞれが活躍していた地へと送り込み、過去の自分を見つめ直す機会を与える。己の存在を見極める修行…、それが極の修行だ。

既に他の本丸では何人か修行させたらしく、言われてみれば演練でも姿が変わった短刀たちがいたことを思い出した。



「池田屋の攻略が済んでいる本丸から極の修行についてお声掛けしています。しかし修行の為には一定の錬度まで達していることも条件となります」


「強くなければ更なる高みにはいけないと…」


「そういうことです。クロ様の本丸では小夜左文字、乱藤四郎、厚藤四郎、薬研藤四郎の四振がその錬度を越えております。修行は丸四日。送り出してから九十六時間後には修行を終えて本丸に帰還する仕組みになっています」


「…………」


「いかがなさいますか?」










「…と、こんのすけに聞かれたのですが、まずは貴方たちの意思を聞こうと思いまして」


「それでボクたちが呼ばれたんだね」


「はい」



実際、送り出した先で何が待ち受けているのか詳しいことはわからない。安全性のあるものなのか、危険性の高いものなのか…。修行と言うからにはそれなりに厳しいものなのだろうけれど、その程度は未知数だ。刀剣によって送り先も違うのだから。

もしかすると過去に行くことで元の主への想いが強まり、最悪歴史を変えたいなんて思ってしまうことも有り得る。曾ての主人が亡くなるのを目の当たりにすれば生きてほしいと願うのも必然。それでは本末転倒、逆効果だ。

しかし、逆に言えばそれを乗り越えた彼らは今より一層強くなることだろう。

どちらに転ぶかは彼ら次第。



「どうしますか?行きますか?」


「……貴女は…僕らに修行に行ってほしいの?」


「…そうですね。歴史を守る為に強くなりたいと思ってくださるのであれば、私は快く送り出しましょう」



彼らの修行で私に出来るのは見送ることだけ。強さを求めるのなら、私はそっとその背を押そう。



「俺は行きたいな。今よりもっと強くなりたい」


「ボクも!もっともっと強く可愛くなって主さんに見合う刀になりたい!」


「…僕も。過去を見るのは少し怖いけど…でも、貴女がそれを望んでくれるなら」


「厚、乱、小夜は行きたいと。…薬研は?」


「俺は…。俺は最後で良い」


「?」



黙りこくっていた薬研に問いかけると、困ったような笑顔でそう答えた。

珍しい。強くなれるなら進んで修行に行くかと思っていたのに。厚と小夜もそう思ったのか首を傾げて薬研を見つめている。



「良いのか薬研?強くなれるんだぜ?」


「ああ」


「…………」



まだ悩んでいるのか少し眉間に皺が寄っている。
…もう少し考える時間が必要ですかね。



「これは急ぎの話ではありません。修行道具の準備が出来次第、一人ずつ行ってもらうことになりますので、心の準備だけは各自整えておいてください」


「わかったよ!」


「おう!」


「うん」


 

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