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 あの日、あの時、私たちは二人で支え合っていた。





 三脚は一番安定すると言う。二点を定め、それを結ぶとまず一筋の線ができる。そこに、直線上には無い一点を追加で定めると、ひとつの平面ができる。それが三角形である。何かひとつの図形を示したかったとして、三点あれば十分なのだ。そこに不要な一点や二点を加えれば図形はたちまち歪になってゆがみ始め、最悪の場合、最後には崩れてしまう。

 気だるげに立てた人差し指を、くるくると適当な図形でも描くかのように回して見せた。有名な話だ。そうやって自慢げに話すことでもないと、話半分に次の任務について考えて居たことを何故かよく覚えている。

「だからね、」

 だから、私たちは三人でひとつなのだと。誰かひとりでも欠けたらすぐに崩れるのだと、この時のこいつは私たちに当てはめて宣った。なるほど、三脚の話はこれのための前座だったのか。

 夕陽に照らされるその横顔が憎らしくて、あまりにも美麗で。それでいていつか消えてしまいそうな儚さだったので、放課後なのにも関わらずここに二人して待ちぼうけを食らっている現状を話題に上げた。そんな空想の話をしている場合では無いのだ。私たちは今を必死に生きる、呪術師だ。

「……で、みょうじ。あなたそんな話をしている暇があるんですか」
「あらら、もうそんな時間?」

 ヤバい、灰原待ってるかも! と力いっぱいに痛いくらいの力で私の手を引いて教室を飛び出した、普段は何も考えていないこのバカみたいに緩い表情を擡げたおまえのこの違和感を見過ごしていたのは、きっと、私史上最大の落ち度だったと言えるのだろう。





 三脚は一番安定すると言う。その理由は、構造と物理法則に基づいている。

 そう。三脚とは三つの脚で地面に接地しており、これによって安定性が向上する。三点が形成する平面は一般的に安定であり、床面に対して均等に力を分散することができるのだ。さらに、三脚は一般的に見ても剛性が高く、振動や揺れに対しても耐えることができる。

 しかし、これらの理由により三脚は安定性が確保されるが、地面の状態や三脚の品質によっても安定性は変わるため、適切な使用方法やメンテナンスも大切だという。

 そうだというならば、あの頃の私たちには一体、何が足りなかったのだろうか。








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終焉