初めての作り笑顔
十番隊を出禁にされてから、葵ちゃんはおろか、乱菊さんにも会えていなくて、かなり寂しかった。いっそのこと恋次を使って葵ちゃんを呼び出してみようかとも考えたが、あんまりしつこくても嫌われるだけだと思い、我慢するしかなかった。嫌われるのは嫌で、行動なんてできなかった。
たまには吉良にでも話を聞いてもらおうと思って、わざわざ三番隊まで足を運んだ。もちろん仕事中じゃなく昼休みだが、きっと吉良はいるだろう。
三番隊の執務室まで向かっていたら、向かいから一人の女の子が歩いてくるのが解った。見間違えるわけもない、葵ちゃんだった。
嬉しくて駆け寄りたいくらいだったが、俺の理性がそれを止める。もう既に嫌われているかもしれない、という可能性が脳裏をよぎり、たまらない不安に襲われる。
「おはようございます」
近付いたとき、葵ちゃんから挨拶をしてくれた。それだけで、馬鹿みたいに嬉しくなった。でもそれ以上の言葉はなく、途端に胸が苦しくなる。
「あぁ、おはよ」
本当はいっぱい話したいことがある。でも俺は話すことすら許されていない気がして、挨拶以上の話なんてできなかった。せめて葵ちゃんに負担をかけないよう笑って見せたつもりだったが、うまく笑えた気はしなかった。
ストレスになるくらいなら自分から離れたくて、そのまますれ違って、吉良に会いに行くこともなく、遠回りをして自分の居るべき場所へと帰った。
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