尽きない悩み



負担だった。他人からの愛情が、重くて仕方がなかった。
隊の女の子たちが話すような恋話に共感できなくて、現世の恋愛ドラマにも共感できなくて、私はそういうの好きじゃないから、仕事さえできればよかった。私に居場所を与えてくれた護廷十三隊に尽くすことが、私の生き甲斐だった。だからそれの邪魔になる可能性がある恋愛沙汰は、起こさないようにしていた。

「せっかく可愛いのに」

乱菊さんに、何回も言われた。それでも私は、仕事を疎かにしてまで好きだと言えるような男が居ないのだから、恋人の必要性を感じなかった。

「可愛いって言われて、嬉しくないの?」
「……嬉しいですけど、そんなことより、仕事できるねとか、頑張ってるねとか、腕を褒められる方が百倍嬉しいです」

そんな風に褒めてくれるのは私に恋心を向けることのない隊長副隊長や、真面目に仕事をして純粋に憧れてくれている部下たちだった。

「じゃあ修兵がそうやって褒めてくれたら振り向くの?」
「残念ですけど、仕事中に会わない人から仕事を褒められるなんてこと無いと思いますよ」
「そういうとこは可愛くない」
「それでいいんです」

可愛いなんて思われようと思っていない。
そういえば最近あんまり可愛いって言われてないなぁと思うのは、檜佐木副隊長と会っていないからだろうか。
この前廊下ですれ違うとき、久しぶりだったしいつもみたいに笑顔で口説いてくると身構えたのに、何も言われなかった。それはそれで不気味にも思えて、元気の無い顔が目に焼き付いて、私のせいだろうかと考えてしまう。
檜佐木さんの軽そうな愛も、毎日受け続ければ積もって重くなる。それに耐えきれず、ストレスで胃が痛くなったのだ。だとしても、それを私の口から言うべきだった。日番谷隊長の力を、借りない方がよかった。あの時は自分の胃のことしか考えていなかったけど、今思うと、あれでも檜佐木副隊長は傷ついていたのかもしれない。

「ねぇ葵」
「まだ何かあるんですか?」
「修兵、誰にでも可愛いって言えるほどの度胸は持ってないわよ」

それを私に言ってどうしてほしいんですか。これ以上、私のことを悩ませないでください。

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