一方通行


「あの、本気で付き合いたいんすけど」

同期の檜佐木くんに告白をされた。そりゃあもう、顔も赤くて、真剣で、本気さも見てとれた。

「…ごめん、私、檜佐木くんのことあんまり知らないし」

彼は同期とはいえ、院生の頃も、入隊してからも、そんなに話した記憶があるわけではない。彼が優等生だということは知っているけど、本当にそれだけしか知らなかった。だから、告白されたからと言って、付き合おうという気にはなれなかった。
檜佐木くんはショックだったのか、フリーズしていた。

「ほ、ほんとにごめんね?嫌いとかじゃないんだけど…ごめんね」

好かれているのはとても嬉しいことだけど、あまり知らない人と付き合うことなどできない。私は好きだと思った人とお付き合いがしたい。
心苦しかったけど謝って、私はその場を去ることにした。


「風間さん、檜佐木さんの告白断ったってホントっすか?」

後日、後輩の阿散井くんにそんなことを聞かれた。そんなこと誰に聞いたんだと問い詰めたいけど、彼は檜佐木くんともたしか仲良かった気もするし、本人から聞いたのだろう。

「うん」
「なんでっすか?」
「…だって、檜佐木くんのことよく知らないし」

顔もそこそこかっこいいし、照れた顔は可愛いなぁ、なんてことも思いはしたけど、だからと言って、檜佐木くんがどんな人なのか、全く知らない。隊も一緒になってないから仕事ぶりも知らないし。

「ふーん…。檜佐木さん、明日誕生日らしいっすよ」
「…それを私に言ってどうするの?」
「世話になった先輩の誕生日なんで、その先輩の好きな人にも祝ってもらいたいんすけど、ダメっすかね」
「…私にどうして欲しいの」
「明日、仕事終わったら一緒に飯行きませんか?お誕生日祝いに」

檜佐木くんを祝ってあげる義理は無いのだけれど、可愛い後輩の頼みを断る方法が解らなくて、うなづいてしまった。

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