生きててよかった!
※オロチ世界設定で、夢主が腐女子。
見渡す限り男・男・男。
いや、もちろん女もいるが、数は圧倒的に少ない。
戦国と三国の世界とはまた別の世界から、この世界に運悪く迷い込んでしまったシマエナガは、目の前にいる武将たちを眺めては何とも言えない溜息をつく。
(少年に青年、オジサマまで揃ってるとか…もう何でもありでしょ!組み合わせの数は…ここにいるだけでも12C2?あ、順序も大事だから12P2?……雑食で良かった。生きてて良かった!)
そんなことを考えつつも、表面上は至って普通。
異様なまでに無表情…とまではいかないにしても、ポーカーフェイスを保っている。
これも長年の修練の賜物である。
決して自慢できる努力ではないため、一般人にカミングアウトすることはできないのが悲しいところ。
「かけ放題、万歳」
静かに喜んでいたのだが、つい油断して本音がポロリ。
不運にもエナガの歓喜の声を拾った者がいた。
「何をかけるんですか?」
「……えッ」
突如背後からの声にエナガは文字通りピシッと石のように固まった。
ぎこちない動きで恐る恐る振り返ると、そこにいたのは陸遜だった。
「エナガ殿?」
「あ、ああ。それは……通話?」
「通話、ですか?」
「そ、そう。私の世界だと携帯っていう機械があって、それで遠くの人と通話、会話ができるの。お金がかかるんだけど、割安になる方法があって、それがかけ放題っていうものなの」
エナガはにっこりと必要以上に明るい笑顔で陸遜にそう説明した。
大丈夫、嘘はついていない。
嘘は。
エナガがよくもまあ次から次へと言葉が出たものだと自分自身に感心していると、陸遜は納得したのか、それ以上執拗に追究してこなかった。
その代り、とんでもない問いかけをされることになる。
「時にエナガ殿は趙雲殿が好きなんですか?」
「え?」
それは一体どういう意味で、だろうか。
陸遜の意図が分からず、エナガは首を傾げる。
「好きだよ。優しいし、強いし(右でも左でも美味しいと思うし)」
「…そうですか。では幸村殿は?」
「え、幸村さん?好きだよ。趙雲さんと似てて優しいし、強いし。カッコカワイイし(右でも左でも(以下略))」
「………やはり誤解していますね」
「誤解?何が?」
とりあえず、当たり障りのない無難な答えを返したつもりだが(もちろん心の声は言葉にはしていないが)、陸遜の真意は別にあるらしい。
誤解というと、もしや、無難じゃない、非常に答えにくい、そっちの好きなのだろう。
困ったことに、男どもの組み合わせで萌えていたエナガは、自分自身のことにまで考えが及んでいなかった。
答えられないのが、恥ずかしい、だとか、陸遜が好きだから言えない、という理由ではないのが、非常に残念なのは…エナガとて自覚している。
エナガの沈黙と泳ぐ視線を見て、陸遜は苦笑した後、またもやとんでもない発言をかましてくれた。
「私はあなたが好きですよ」
「へ?」
これはひょっとするとひょっとするのではないか。
よもや先程の流れからそうくるとは夢にも思っていなかったエナガにとって、陸遜の言葉を正しく理解するのに時間を要した。
混乱の渦に呑まれたエナガを現実へと引き戻したのは、やはり陸遜で。
「エナガ殿が振り向いてくれるのなら何度でも言います。私はあなたが一人の女性として好きです。たとえあなたが突拍子もない発想をする夢想家でも」
「…………」
前半の綺麗な告白は、後半の暴露により台無しなのは…気のせいではないだろう。
全てを見透かされていたエナガは、ただただ泣きたかった。
いろんな意味で。
その後、エナガと陸遜はどうなったか。
エナガの妄想時間が減ったという事実で凡そ察していただけるとありがたい。
(完)
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【オタクなヒロイン5題】
配布元:確かに恋だった
あまりに好き嫌い別れるだろうから最近めっきり書かなくなった夢主腐女子ネタ。
オタク⇒腐女子という安易な想像になるのは、私が想像力がないのと腐っているのが原因です。
2015/1
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