「ちょっと待ってよ、ディーノ!」
私をこの町まで連れてきてくれたボスの背を追って階段を駆け上がる。
私に紹介したい人がいると言った。
ディーノの弟子で、これからお世話になるボンゴレファミリーの一員らしい。
「急げ彩乃!約束してんだよ、咬み殺される…!」
物騒な台詞が聞こえた気がしたが息が上がって頭が回らない。
やっと屋上に続く扉まで追いついた。
ギィーと音を立てて扉を開く。
夕方の屋上はちょうど良い気温で風も優しい。
屋上の風に髪を揺らしながら息を整える。
屋上の気持ち良さに欠伸したくなるのを堪えて人影を探した。
そこにはー
真っ黒い髪で端正な顔立ちをした男の子が睫毛を伏せて、静かに寝息を立てている。
その姿を見つけた時、私は一瞬、王子様かと思った。
その側でディーノは必死になって口の前で人差し指を立てている。
しかしその努力虚しく王子様は目を開けた。
「跳ね馬か…。僕の眠りを妨げるとどうなるか、教えたよね?」
切れ長の目から放たれる目線は鋭く、冷たい。
でもなんだろう、彼は…
「悪かったって!お仕置きは今度にしてくれよ。お前を紹介したい奴がいるんだ、彩乃!こいつはオレの弟子の雲雀恭弥。よろしくな」
ディーノが私を紹介すると彼がギロリと私を睨む。
鋭い視線を受けて胸が高鳴った。
「あ、姫塚彩乃です…」