蛇足
■補足
▽本編補足
・三日月による鶴の預け先本丸選定理由
三日月宗近がいて、鶴丸のいない、白そうな本丸を捜していた。
月に狂っていない審神者がいる、かつ、自分の必要とされていない本丸。鶴が一振り目ともなれば大事にするだろうという考えから。
そういうわけで、保護先本丸にはもう一人三日月宗近がいる。
自分は最初から勘定にいれていない。最後まで、彼は自分を助けてとは口にしていない。

・丸月の手引き
ここの本丸の審神者は、お節介焼きで三日月を匿ってしまいそうだったので。それでは己が主にお咎めがいってしまうと、厄介ごとでしかない鶴成達を追い出したいのもあって、丸月は二人が出て行くのをお手伝いしました。

・保護先審神者
黒本丸での経験がショックのあまり、鶴は記憶を忘却した(精神自己防衛)と思っている。それほどひどいことをされたのか…(深刻な顔)
良くも悪くも人がいいので、テンプレ勘違いまっしぐら。

・三日月のいた本丸について
表向き『普通』の本丸で、審神者も多くの刀剣達にとっては『いい主』だった。
異常さを隠すのが上手いとでもいおうか。審神者の腹心の刀数振りだけがそれを知っていて、かつ、許容していた。審神者の性欲のはけ口は専ら三日月。
三日月はその意思を無視され、夜伽を強要されている状態。誰にも助けを求めてはならない・夜伽のことを悟られてはならない・常に腹心達に監視されている状況。孤軍。何も知らない刀剣達は、主を慕っているだけに、尚更。
鶴丸は、そんな三日月の見えないヘルプサインに気付いたクチ。但し、色々と探っていたのを腹心に気付かれ、審神者に密告されてしまって、そこから三日月同様審神者に夜伽を強要されるように。虎視眈々と反抗の機会を伺っていたが、鶴丸が手を下す前に三日月に我慢の限界がきてばっさり。鶴丸は腹心達の刃から三日月を庇った傷&三日月の穢れ的な諸々の肩代わりでお亡くなりに。
多分本丸に残された刀剣男士達にとって三日月は謀反刀。




▽ネタの補足
・ICO
角付きの少年が少女と手を繋いで古城を脱出する、パズルちっくなアクションアドベンチャーゲーム。お手手繋いでないと少女が黒いのに連れてかれてどきっとする。
キャッチコピーは「この人の手を離さない。僕の魂ごと離してしまう気がするから」

・大三角形
夜空の星を繋ぐあれ。夏冬あるが、主人公が見たのは夏の大三角形。某曲を思い出す。デネブから十字もとい白鳥座を辿った。
ちなみに鶴座は十字ではなく逆さy字。名前の来歴がサギ座だったりフラミンゴ座だったりする。フラミンゴ丸国永。

・「さて、」
推理を語り出す際の、探偵の約束事であったり礼儀のようなもの。語り出す前には、事件の当事者一同をその場に集めておくのがセオリー。
私がこれを意識しだしたのは、はやみねかおる氏の夢水清志郎シリーズからだったが、アガサ・クリスティ他探偵小説でも、「さて」から切り出すのがお約束になっている様子。
締めは「Q.E.D.(証明終了)」ミステリー小説でこの語を用いたのはエラリー・クイーンが最初といわれているらしい。私は高田崇史氏の千波くんシリーズで知った。

・泣いてくれた方がマシだ
諸説ありますが。判明していないこともありますが。涙を流すことで、セロトニン(精神の安定を働きかける脳内物質)の活性化やエンドルフィン(鎮静作用のある脳内物質)の増加がのぞめるようです。
おじいちゃんギャン泣きして正気度回復してお願い! そうじゃないと鶴成ちゃんにSANチェックが定期的に入っちゃう! どなたか、どなたか精神分析をお持ちの方はいらっしゃいませんか!
・風流である
粉粉粉粉粉氏制作の探索ホラーゲーム『明美譚』の掛け軸に書いてある言葉。風流である。







■蛇足
▽成り代わり主に関する余談
・名乗り
「おっす! オラ、鶴丸国永!」

言わせるタイミングがなかった。
とても言わせたかった。言わせたかったんだよ…?

・あるいは精神分析
何となくだが、分かるのだ。この三日月宗近という存在が、何とも危ういものであると。多分、俺はこいつの精神安定剤にされているんだと。
一体、何処の誰の代わりにされてるんでしょうねえ? まあ、何でもいいけどね。

せやな。


・脱線事故
なぁに、二次創作物でよく聞くブラック本丸ってやつ? あれ俺、ブラック鎮守府って単語をなまじ知ってただけに、ブラック本丸って単語から夜伽ネタが湧いてきたことに驚いたわ。オリョクルはいやでち。
あと、弟の手入れのために身体を張る一期。重症状態で放置どころか次々折られる短刀の話の絵面は悲惨なのに、レベリングの作業時間が無駄になるーとか刀解して資材回収したいーとか、ちょっとズレたシビアなこと考えてしまうこの血も涙もないゲームデータ思考。
そういや、エロくて黒い展開になるとして、お船の方では身体で払うパターンのイメージが強いんだけれど、刀の方だと搾取されっぱなしなイメージがあるのは気のせいだろうか? やっぱり職場の上司部下と閉鎖空間の主従だと、違うものなのかな。どっちにせよ、スタンフォードなにおいがするな。
おっと、話が脱線した。

脱線どころか長くなりすぎてカットしたよね。


・ブラックジョーク
幸い墓に入ることには慣れているからな。まさか俺の墓が出来るとは思わなかったが、とか何とか言うのはさすがに不謹慎過ぎるだろうか。

多分口にしたが最後、三日月にすぱっと首を落とされると思います。


・見ていられない
「あまりに重そうだったからな」

彼の抱え込んでる、感情とか。飲み込むには消化不良を起こしそうだし、抱え込むには潰されそうだし。多少下ろしたところで、バチは当たらないと思うんだけどなあ。

手放すことは、黒丸で共にいた鶴丸まるまるとさよならするのと同じようなものなので、三日月は抱えたまま、動けずにいるのです。


・提案
「取り敢えず、泣いておくか?」

袖を広げ、ひらひらと揺らした。これだって、ハンカチの代わりくらいにはなるだろう。三日月はきょとんとしていたが。

「人とはそういうものだろう」

半分戯けて、半分本気でそう言って、俺はにんまりと笑った。さて、鶴丸国永らしい笑みになっているだろうか。


主人公のバックグラウンドには大して触れず、主人公もまた、自分の状況をすんなり受け入れています。言及するのも冗長かと切り捨てました。書くのを面倒臭がったとも言います。
公式にない二次設定がなちゅらる*に出てきちゃってることに鶴成り代わり主はもっと疑問を抱くべきでござる*。


・申し訳程度に考えていた設定
男、二十代後半。
鶴っぽい言動をつとめているが、信念や思考は元から持っていたものそのままなので、少し変わったところのある鶴丸国永になる。世話焼きで情に厚いところがある。切り捨てることが苦手な性質。凝り性。
印刷業に携わっていた。兄→→←妹くらいの度合いで妹と仲良し。




▽おじいちゃんのぽえむ
病みっていうか闇っていうか。色々抱えているけれど、涼しい顔してる。この人のお腹の中とか覗きたくないなあ。
割と死ぬ気満々で、でも鶴に生かされた身で自刃はなぁって考えてたところで落っこちてる鶴を見つけた。

・Black in truth
怒りも憎しみも恨みも、全てかの鶴が攫って持っていってしまった。悲しみしか、残らなかった。その悲しみさえ、染み込んでこない。ぽかりと空虚な穴があいている。

憎しみへと辿り着けない。


・慣れとは恐ろしいもので
鶴、と。呼びかけてしまったのは失敗だった。
呼び慣れたそれが、口を突いてしまった。

あちゃー。ってなってそう。三日月宗近、失敗の始まりである。


・手
同じではないと分かっている。贖罪というわけでもない。似ているだけの別物で、代わりにする気もない。代わりに、なるはずもない。それでも、握り返された手に、胸を突かれるような痛みを覚えてしまうのは、仕方がないことなのだろう。

離し難くなってしまった。困ったなあ。


・荒む
俺自身が気付いていないだけで、俺はとうの昔に狂っているのやもしれん。

狂うまではいかないが、冷静でもない。「己を削って鶴を守ること」に固執している。
発狂というよりはジャーム化寸前なイメージ。ダブルクロスと闇落ちってなかなか相性いいのでは…?

穢れ肩代わりって、まどマギの例のシーン感ある。
鶴に斬られて刃生に幕引きたくなったのは、幸せであることが怖かったからかもしれないね。永遠に続くはずがない、いつか終わりがきてしまうであろう幸せ。失うのが怖いから、自分主導で幕を引いてしまおう、とか、そんなの。

傷付いて、みていられないくらいにボロボロになっているのに、その『三日月宗近』の心根を折りはしない、強いひと。強がってるひと。




▽作者こめんと
のような何か。

・成り代わり主人公に関して
折角刀剣男士という立場になるのだから、同じ刀剣男士、背中を預け合う戦友として、信頼関係を築いたり、親愛・友情を育んだりして欲しかったのです。作中のあれでは育めてなさそうですけれど。


・癒されない三日月に関して
美しくあることに矜持高い、というか、三日月宗近の価値は美しさに重きを置かれているので、美しくあろうとする性質を持つ・そこにアイデンティティを抱いている付喪神だと今作では解釈しています。だからこそ美しいままに散りたがったわけです。ブギーポップ呼ばなきゃ。

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