クリスマスパーティーの荒木先生の衣装
学園のクリスマスパーティーが迫ったある夜、俺は自室でクローゼットに頭を突っ込んでいた。パーティーの主役はあくまで生徒たち、教師の自分まで正装する必要が果たしてあるのかとは思うが、結局インプロバトルにも参加することになったし、実行委員を頑張っている生徒たちに水をさすのも気が引ける。何かしらの衣装があったはずだとクローゼットの中を漁っていると、昔イベントで着た衣装が出てきた。懐かしさに思わずお〜と声が出つつ、一応袖を通しておくことにした。「ん〜、まだいけるかー?」
鏡の前に立ち、衣装を正しながらまた一人言。ちょうどそのとき部屋のドアがノックされた。地味に着込んでいるので元の服に着替えるのも面倒で、まあいいかとそのままドアを開けると、特待生が申し訳なさそうな顔をして立っていた。
「遅くにすみません。あの、先生の時間じゃないかもしれないですが、今日出た課題のことでどうしてもっ……」
言い募る途中で、特待生の胸の前で抱いていたノートがめりっとひしゃげた。まじまじと視線を注がれる自分の格好に目を落として、何となく気まずい思いで言い訳のように後ろ頭をかいた。
「あーこれは、クリスマスパーティーで正装してこいって言われて試着をだな。……どうよ?」
「えっ!?え、あの、か、かっこいいです」
「よし、まだ大丈夫か」
「まだっていうか、全然大丈夫ですよ……!」
茶化したつもりが、特待生は顔を赤くして瞳をきらきらと潤ませて、いたく感激しているらしい反応にこちらもつい照れてしまう。突然、特待生がハッと顔を上げた。
「先生の衣装は、当日までみんなには秘密でしたよね?すみません!あの……クリスマスパーティー楽しみにしてます!!」
言うだけ言って、走り去ってしまった。課題について聞きに来たんじゃなかったのか、引き留めようと玄関から一歩踏み出すも間に合わず隣のドアがばたんと閉まった。それにしてもああいう反応をされるのも久しぶりで、まあ満更でもないが、特待生はどんな格好してくるつもりなのか聞けばよかったと思い付く。当日のお楽しみだな。