おまじない頼みの祈にやきもきする

「とっ、特待生さん、おはようございます!朝から会えるなんて偶然ですね!」
「おはようございます」

今朝は本当に『偶然』だったらしいタイミングで祈と曲がり角で出くわした。ぱぁーっと笑顔になる祈に挨拶を返して、並んで校舎への道を歩き出す。寝る前にやったおまじないが早速……効果てきめんだ……と横で拳を握りしめる祈をちらりと見上げつつ、私はそういえば、と切り出した。

「週末の外部の講習、祈も参加するって聞きました。良かったら一緒に行きませんか?」
「お、俺でよければ、それはもうぜひ。……先週から始めた、シャーペンの芯を三本入れて十日で使いきったら願い事が叶うおまじないのおかげ?まだ残ってたはずだけど……」
「もう、祈は」

ぶつぶつと自問自答している祈の手を唐突につかむと、ぎょっと肩をこわばらせてこちらを見る。ちゃんとこっちを見てほしい。

「おまじないのおかげじゃなくて、私がそうしたいと思ったから誘ったんです。いいですか?」

真っ赤な顔でかたまる祈に向かって返事を促すよう首を傾げると、ようやく「はい」と言って、私は満足して頷くのだった。

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