アオイと思い出のヒマワリ畑へ

「……まだダメ?」
「ああ、もうちょっと……おっと!小さい段差があった、気を付けろよ」
「うん」

大きな手のひらに視界を遮られながら、たどたどしい足取りで整備されているとは言いがたい道を進む。目隠しをして知らない道を歩くのは不安があるけれど、背後から抱きしめるようにしてアオイが舵をとってくれて、大の大人が二人しておかしなことをしてるねなんて笑いながら目的地に向けて一歩一歩踏みしめた。せっかくだから最高のポイントから見てほしいのだと言うアオイに了承したけれど、もうそろそろだろうか。ふと歩みが止められ、夏の気配を乗せた生温い風が髪を撫ぜていった。頭上から感嘆の声が聞こえ、私はもう待ちきれなくなってアオイの手に触れた。

「――ああ、じゃあ離すぞ」

視界が一気に明るくなり、眩しすぎて一瞬白んだあと広がったのは一面の黄色。立派なヒマワリが一様にこちらを向いて咲き誇っていた。ずっと見たかった、あの景色だ。実際に目の当たりにしたそれはあまりにも色鮮やかで壮大な光景で、思わず言葉を奪われていると、背後からアオイの腕が回ってきてぎゅっと身体が密着した。

「すごいね……」
「やっと、一緒に来られたな」

肩口にアオイの顔が押し当てられて、少しくぐもった声が囁く。軽く身を捻ってその顔を振り仰ぐと、潤んだ瞳が私を見下ろした。そんなふうに涙を堪えるような顔を見たらこちらの涙腺も刺激されてしまって、私は向き合ってその長身を抱きしめた。

「アオイとこのヒマワリ畑を見に来るのが、私の夢だったの。叶えてくれてありがとう」
「……そんなの、俺の方がよっぽど夢見てたよ」

ねえ、やっとここまで来ることができたね。あの島で過ごした日々の中で、私は本当のアオイを何か一つでも知ることができたのか、信じることに不安があったよ。今はこんなに近くにいて触れられる。ちゃんと心が通い合っているって、信じられる。

「アオイ、好きだよ」
「俺も。愛してる」

数えきれないほどのヒマワリ畑の中で大きな愛に包み込まれて、幸福を噛みしめた。

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