ビルの屋上で傘をさす



何が愛だ。
何が恋だ。
みんな、みんな嘘だらけだ。

少女は愛も恋も知らない。
本当に信じていいのは己だけ、そう思い続けて生きてきた。
だけど、少女の心はもう壊れてしまった。
広い家も誰もいない己だけがいる。

「こ、んな世界なんて・・・・」
「”無くなってしまえばいい”なんて考えている?」
「っ!?・・・・誰、?」
「無くしてあげるよ」

いきなり目の前に現れたのは誰も入れた覚えもいない青年が立っていた。
その綺麗に整った顔立ちはどこか人間離れをしている。
少女はそんな青年の登場に困惑するしかなかった。

「君が望む世界に連れて行ってあげるよ」
「私が、望む・・世界・・・・」
「そう、此処の世界は君以外の誰かが中心みたいだからね」
「・・・・」
「だからね、君をね・・・」

青年が何かを言おうとしたら少女が口を開いた。

「そんな世界なんていらない・・その代わりに私をーー」

殺して・・






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