こころまい
「死ぬ時は一緒だぜ」

 この男は何をのたまうかと思えば、僕の目を見てそう言って、静かに眠りについたのだ。
 僕はこの男が嫌いだ。嫌いなはずだった。奥さんを置いて愛人と心中したり、友人を捨てるような真似をしたり、盗作をしたり、とにかく大人の皮をかぶった子供みたいなこの男が、僕は、嫌いで、嫌いで、大嫌いで。
 なのに心中に誘うセリフをこの耳で聞いた時、どことなく、ときめくはずもないと思っていた僕はしっかり動揺してしまっている。
 もし死ぬのであれば、やはり入水自殺を試みることになるのだろうか。死ぬ確率なんてあまりに低いのに。

 血に濡れた太宰の頬を僕の指先が伝っている。

病的



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