昨日2 今日4 合計2961 更新2018/12/25/16/02

投稿2018/12/25/16/02

【連鎖怪談 其の三】〜私の右手…知りませんか〜


これはある地方の寂れたホテルのお話です。
フロント係りのおばちゃんが、いつからか

「なんかおかしな足音が聞こえる」

と言うようになりました。

「どんな足音なの?」

と聞いてみると、普通、足音といったら"コツ、コツ……"とか規則的なものですが、でも違うと言うのです。

"ズズ…ッ…トン…ットトン…ズズズズ…ットン…"って、不規則で本当に気持ちの悪い足音だと。

そんな事があってしばらくすると、一階の裏にある部屋、つまり通りに面した入口の、ちょうど反対側の部屋の客から、変な話しが出てくるようになりました。
今度は、

「私の右手…知りませんか」

という声が聞こえるらしいのです。
それで皆でおかしいなって言っていたら、ある日、決定的な事が起きてしまいました。

フロント係りのおばちゃんが、ついに見てしまったのです。
フロントの小窓から顔を出して、音のする方を。…

そしたら、ワンピースがボロボロで血まみれの女が、体を引きずりながら動いていたと。…
手足はおかしな角度でついていて、首と頭も肩の方に垂れ下がり顔が潰れているような、まるで、ゾンビみたいな姿だったと。…

それでついに警察にも通報する騒ぎになりました。
でもなぜか交通課の警察官も一緒になって調べているので、不思議に思って聞いてみると、そのホテルの裏は国道になっているのですが、実は去年、ちょうどホテルの真裏の辺りで、女性がひき逃げされた事件があったのだと。…

身体の一部がちぎれた轢死体で、右手だけが最後まで見つからなかったらしいのです。
それを聞いた従業員達が、ピンときて

「もしかしたら、うちのホテルの敷地の中に入っているんじゃないか」
と。…

それで探したら、国道とホテルの間に塀があって、そのほんの数センチの隙間に白骨化した手首があったのです。
それで全てが繋がりました。

ひき逃げされて、右手を失った女性が、自分の手首を探してホテルを徘徊していたのだろうと。…


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