第83話:シリウス
「大丈夫か?レン、レン!」
誰かに身を揺さぶられ、レンはゆっくりと目を覚まし、強く打ち付けた頭を摩っては小さくコクコクと頷いては平気だと意思を示すと、その者はホッとした様に息を吐く。
「無事で良かった…ハリーは?」
「多分…この先…あっちから、死喰い人が来たから…」
抱きしめてくれてた人物はその言葉にレンの身を離し、駆けつけようとしたのをレンは服を掴みそれを制する。
「私も行く。シリウスの背中は、私が護るって…言ったでしょう?」
レンのその言葉にフッと笑ったシリウスはレンの額に口付ければレンを立たせ、行こう。とだけ言い共に走り出した。
「レン、道を切り開いてくれるか?」
「判ったわ。後ろは気にしないで。」
扉を開け何人もの死喰い人が居る中をレンはシリウスが突っ込こんで行ける様、一本の道を作るように失神呪文で敵を薙ぎ倒せば、シリウスはそのまま杖を上げた死喰い人に肩でタックルをかまし跳ね飛ばした。
ハリーは手から落ちかけた光る球を慌てて掴み直していた。
ずっと向こう側で、リーマス、ムーディ、トンクス、キングズリーの姿が見えたが、レンは目の前に広がったその風景に身動きが取れなかった…。
あのカーテンだ…水晶玉の中に見えた…あのカーテンとその側に、シリウスの姿があるのだ…。
嫌な思いがレンの心を埋め尽くして行く。
ハリーが闇祓いを倒すとシリウスとハリーは岩場のような物陰に隠れて身を顰めていた。
何かの指示を受けたのだろう、ハリーはネビルを抱えて走ろうとするが、ネビルの足が猛烈にタップダンスを踊って何度も転んでいた。
ダメだ、自分がしっかりいなければ…フィレンツェだってケンタウルスですら読み間違えることがあると言っていた。
見たからと言って未来が決まっている訳ではない…いくらだって変えられる。
レンは自分にそう言い聞かせて両頬を叩いては「フィニート!」と杖を振るって呪文を唱え、ネビルにかかった呪文を終わらせる。
(P.14/全P.49)
前へ | 一覧へ | 次へ