スネイプは扉を閉め、教壇へと歩きながら「我輩はまだ教科書を出せとは頼んでおらん。」と一言言い歩いていく。
「我輩が話をする。10分、傾聴するのだ。」
スネイプの瞳が生徒それぞれを見つめてからまた口を開いた。
「我輩が思うに、これまで諸君はこの学科で5人の教師を持った。当然、こうした教師たちは、それぞれ自分なりの方法と好みを持っていた。こうした混乱にも関わらず、かくも多くの諸君が辛くもこの学科のOWL合格点を取ったことに、我輩は驚いておる。NEWTはそれよりずっと高度であるからして、諸君が全員それについてくるようなことがあれば、我輩はさらに驚くであろう。」
スネイプは今度は低い声で話しながら教室の端を歩き始め、クラス中がそれを追うように首を伸ばす。
「闇の魔術は…多種多様、千変万化、流動的にして永遠なるものだ。それと戦うと言うことは、多くの頭を持つ怪物と戦うに等しい。首を1つ切り落としても別の首が、しかも前より獰猛で賢い首が生えてくる。諸君の戦いの相手は、固定できず、変化し、破壊不可能なものだ。」
確かに闇の魔術は危険な敵で、侮ったものからそれにやられ命を落としていくだろう。
だが、スネイプの声色はどこか優しくそれを言い、レンは小さく首を傾げた。
「諸君の防衛術は」スネイプの声がわずかに高くなった。
「それ故、諸君が破ろうとする相手の術と同じく、柔軟にして創意的でなければならぬ。これらの絵は、術にかかった者達がどうなるかを正しく表現している。」
スネイプは明らかに苦痛に悲鳴をあげている魔女の絵を指して「例えば磔の呪い。」と言い、次は壁にぐったりと寄りかかり虚ろな目をして蹲る魔法使いの絵を指し「吸魂鬼のキスの感覚」、地上に血だらけの塊の絵を指し「亡者の攻撃を挑発したもの。」と言葉を続けていく。
「それじゃ、亡者が目撃されたのですか?間違い無いんですか?あの人がそれを使っているんですか?」
バーバティ・バチルが甲高い声で聞いた。
「闇の帝王は過去に亡者を使った。となれば、再びをそれを使うかもしれぬという想定をするのが懸命というものだ。クレスメント、お前なら判ろう…襲撃を受けた際、何がやって来たかね?」
「吸魂鬼と亡者が押し寄せて来ました。」
「そのような者達が自発的に群れをなし襲いかかるとは到底考え難い。…さて、諸君は我輩が見るところ、無言呪文の使用に関してはズブの素人だ。無言呪文の利点は何か?」
レンは手を挙げハーマイオニーも手を挙げれば、辺りを見渡し、スネイプはレンを指した。
「相手の不意をつけるという利点を持つ事が出来ます。声を出さぬという事は、それだけ呪文が相手にかかる成功率を上げそれ即ち生存率を上げる事にも繋がります。」
「左様。呪文を声高に唱える事なく魔法を使う段階に進んだ者は呪文をかける際、驚きという要素の利点を得る。いうまでもなく全ての魔法使いが使える術では無い。集中力と意志力の問題であり、こうした力は諸君の何人かに…欠如している。」
スネイプは悪意に満ちた視線をいつも通りにハリーに向けた。
「これから諸君は二人一組になる。一人が無言で相手に呪いをかけようとする。相手も同じく無言でその呪いを跳ね返そうとする。…クレスメント生徒に見本を見せてやりたまえ。」
「私が先生を襲えばいいんですか?」
レンのその言葉にやれるものならどうぞ?と言いたげにスネイプの眉が上がった。
「3の合図で好きにやってみたまえ。」
決闘に習ったのだろう、スネイプがそういうと、ドラコが「1…2…3!」とカウントすれば、スネイプの杖から武装解除の光線が飛びレンは盾の魔法で防ぐのと同時にその魔法をスネイプにかけ返した。するとスネイプは僅かに瞳を大きくすればそれを上へ弾くように防ぐと天井で火花が散った。
「見事だ。10点くれてやろう。」
レンはぺこりと頭を下げれば、他の生徒達を2人1組にし、レンには古びた本を手渡した。
「無言呪文を心得ているお前にはこの授業、別の課題をやろう。これを学んでおくようにと校長からだ。」
そう言われその古びた本を開くと中はびっしりと古代ルーン文字で書かれていた。
「流れ弾にも当たらぬ様注意しておく事だな。」
スネイプはそう言い、辺りは練習を始めていた。DAの会合でもそうだったが、誰も口を動かさずにやるという事は最初からでは無理の様だった。
ヒソヒソと呟く声が聞こえ、レンは思わず口元が緩んでしまい、いかんいかんと無表情になれば、その本に集中する。
気が付くと授業が終わっており、ハリーがレンの肩を叩いてそれを教えてくれ、レンは鞄を持ちそれを読みながら歩いた。
(P.82/全P.208)
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