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「…まだ、体の調子が悪いのか?」
「いいえ。それは大丈夫よ。」
「元気がない。…僕の事を怒っているのか?」
「怒っていたりしたら此処に来ないわよ。違うの…最近ずっとこうなのよ。ちょっと気になる事があって。」
そう…あの翻訳を頼まれた本。…あれに載っているある魔法についての記述…それが自分の現状によく似ているのだ。
それ即ち…と、先の事を想像してしまえば、思わず溜息が漏れてしまった。
「気になる事?」
「えぇ。魔法の事だったり…後はドラコも他の周りの人も皆大人になっていくから…私だけ時の流れから取り残されたみたいな気がしたり、ね。」
「僕が子供だって言った事、まだ気にしてたのか。」
ドラコは小さく苦笑し、取り敢えず此処に座れよとベッド空いているスペースを叩けば、レンは素直に其処に座ってしまう。
するとドラコはレンを抱き締めその首元に顔を埋め、レンはそれに小さく笑えば背中を軽く叩くように撫でた。
「ドラコも元気がないみたい。って病欠でクィディッチ欠場するくらいだから当たり前ね。」
「…ったくキミは…。僕が何度忠告しても判らないんだな。」
「なんの話よ。」
「僕は男でキミは女だ。力では敵わないし、キミは甘い。僕や仲間を攻撃する事は出来ないだろう?なら自分で警戒して身を守るしかないんだ。こんなに僕に近付いて、また薬でも飲まされたらどうするつもりだ?」
「あぁ、その事。ドラコはもうそんな事しないわ。」
「判らない。此処でレンに惚れ薬を飲ませて僕のものにする事だって出来る。」
「出来ないわね。貴方がそんな薬に頼る意気地無しだなんて思ってないもの。」
それにドラコは大きく溜息を吐いた。これ以上言っても無駄だと思ったのかもしれない。
「貴方が私の事を理解し甘いと言う様に、私も貴方の事を良く知っているわ。私の体調を気に掛ける貴方にそんな事を出来ないって事も…汽車での事は多分…何か別の理由があって飲ませようとしたんじゃないかって思うの。…でも確かに最近はドラコが知らない人の様に見えて…なんて言ったら良いのかしら…寂しい?」
そこまで言うとレンは苦笑をする。
「レン…キミがどんな選択をしようと、僕にとってキミが大切な人だという事は変わらない。」
ドラコはそう言うとレンの髪を優しく撫でたかと思えば、その手を後頭部へ持っていき引き寄せれば唇を重ね、空いている手で逃げられぬ様に抱きしめれば、何度か啄ばむ様にキスをし、瞳を潤ませて耳まで真っ赤にしているレンの顔にドラコは勝気に笑んだ。
「そういう顔は男を誘う顔という事を覚えておくといい。」
目尻や頬、耳や首筋にドラコはキスを落としていき、レンは小さく「擽ったい」と漏らし、ドラコの胸を押し抵抗をする。


(P.138/全P.208)
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