「危ない!」
ハリーが叫んだが、既にヴォルデモートの杖から又しても緑の閃光がダンブルドア目掛けて飛び、蛇が襲いかかる。
フォークスがダンブルドアの前に急降下し、嘴を大きく開けて緑の閃光を丸呑みした。
そして、炎となって燃え上がり、床に落ち、小さく萎びて飛ばなくなった。
その時ダンブルドアが杖を一振りした。
長い、流れる様な動きだった。
まさにダンブルドアにガブリと牙を突き立てようとしていた蛇が、空中高く吹き飛び、一筋の黒い煙となって消えた。
そして泉の水が立ち上がり、溶けたガラスの繭の様にヴォルデモートを包み込む。
僅かの間、ヴォルデモートは漣の様に揺れるぼんやりした顔のない影となり、台座の上でチラチラ揺らめいていた。
息を詰まらせる水を払い退けようと、明らかに*いている。
やがて、その姿が消えた。
水がすざまじい音を立てて再び泉に落ち、水盆の淵から激しく零れて磨かれた床をびしょ濡れにした。
「ご主人様!」
ベラトリックスは絶叫した。
ハリーはガードしている像の陰から走り出そうとすればレンがその腕を引っ張りそれを制する。
「ダメよ。まだ終わっていない。ヴォルデモートの魔力は消えてない!」
「2人ともそのまま動くでないぞ!」
ダンブルドアの声が初めて恐怖を帯びていた。
するとレンは段々とハリーが違う人になって行く様な感覚がし、慌ててハリーを見つめる。
「ハリー、ダメ…!」
レンはハリーの胸に手を当て、手を淡く光らせる。
「クレスメントの血よ我に従え…!」
ハリーの体からガクンと力が抜け倒れると、レンは直ぐにその場に座り、その頭を自らの胸に埋める様にして魔法をかけ続ける。
淡く身が光り、ハリーを優しく包み込んで行く。
「無駄だ、娘よ…さぁ、俺様を殺せ、今すぐに…」
「嫌よ…!貴方には従わないって言ったでしょう!」
「死が何物でもないのなら、ダンブルドア…この子を殺せ…」
ダンブルドアは切なそうにハリーを見つめたまま動かなかった。
(P.25/全P.49)
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