第87話:お帰りなさい
レンの意識が戻った時は暗闇だった。
自分が目を閉じているからだと気付いた時には、あれは夢だったのか。と小さく笑ってしまう。
レンがゆっくりと瞳を開けば、そこはさっきまでいた談話室だった。
「起こしちゃった?」
急に声をかけられ驚き視線を其方に向ければハリーが隣に座ってくれていた。
ずっと寄り添ってくれレンの手を握っていてくれた様だ。
「心配してくれたの?…有難う。」
「ううん。僕がこうしてたかっただけなんだ。」
ちょっとだけごめん。とハリーはそのままレンに寄りかかる様にし、レンの頭に自分の頭を寄せる。
「ごめんね、レン。」
「ん?」
「僕の所為で…シリウスが…また捕まってしまったかもしれない。」
「何言っているのよ。貴方の所為では無いわ。…それにダンブルドアがワシに任せてくれって言っていた。…だから、私はそれを信じようと思うの。もっと上手く動けていたら…シリウスにも怪我をさせたりしなくて済んだのに…何も変わってないし何も守れてないんだなーってちょっと自己嫌悪はしているけれど。」
「そんな事ない!レンが居てくれたから…僕は皆を死なせずに済んだんだ。」
「ハリー、貴方は強い人よ。私がいてもいなくても変わらず、仲間を守って帰ってきたと思うわ。」
ハリーが繋いだ手をぎゅっと強く握ってくれる。
「そうかな?…僕にもレンを守れる力があれば良いのにって思うよ。あの指示に従わなかったのは少しだけ申し訳ないとは思うけど後悔はしてない。…だって、またキミをあぁいう場に置いて行って傷付く姿は見たくないもの。」
「…シリウスの名でも書いておくべきだったわね。」
そう苦笑するレンに、ハリーは同じ事だよ。と小さく笑ってはすぐにその笑みを消してしまう。
「…ねぇ、レン。キミは…キミだけは僕の前から消えて居なくなったりしないでくれる?」
「勿論よ。私は貴方を護り続けたいもの。その私の背中はハリー、貴方が護ってくれるのでしょう?」
レンが手を握り返しながら、空を見つめて言うとハリーは「勿論だよ。」と答えてくれる。
「なら、私達は死なないわ。もし死ぬ時があったとしたら、その時は一緒ね。」
そう言うレンにハリーはフッと小さく笑ってくれた気がした。
(P.35/全P.49)
前へ | 一覧へ | 次へ