第1話
「おはよう、レン。」
「おはよう、リーマス。」
毎年この時期は、毎日この言葉で1日が始まっていた。
だが、毎年そうだったものに、今年は違うものが3つある。
1つはついこの間まで居たシリウスが居ない事。
逝ってしまってから間も無くシリウスの無実が証明され、彼の死と共にファッジの退却前に報道された。
ヴォルデモートとの事などの責任を取って彼は辞任したらしいが、レンは号泣していた。
「シリウスが亡くなってから無実が証明されたって…!」と…。
そして変わってしまった事のもうひとつ、リーマスが恐れていた通り、レンの精神状態があまり喜ばしいものではない事だ。
あれからレンは3度ほど1人で眠ったが、その度にシリウスの事を夢に見る様で、朝になり心配で起こしに行くと部屋が荒れた状態になっている。
魔力が暴走したのだろう…それから任務を戻らなければならない日まで、出来る限り一緒に寝る事にした、リーマス。
そして、もう1つは…その一件が原因で、レンが上手く笑えなくなってしまった事だ。
笑わなきゃ、今までどおりでいなきゃ。レンは頑張っているのは伝わってきているが、今までの様にに顔全体で笑う事がなくなってしまっていた。
多くの出来事が一度にレンを襲い、消化しきれていないのだと…ただそれだけなのだとリーマスは信じたかった。
そういう自分も、全ての事柄を受け入れられた訳ではない。
酷く悲しいが受け止めるしかないから、そうしているだけ…年をとるという事はこうしてずる賢くなっていくものなのだなとリーマスは苦笑をした。
あの時ルシウスに責められ、自分の所為でシリウスが死んでしまったとレンが思い込み全てを抱え込み抑え込んでいるとしたら…
自分はどうしたら良いのだろう…
シリウスならどうするのだろう…
リーマスはそう考え続け、いくら考えてもその答えは見つける事が出来なかった。
「リーマス。」
そう呼ばれてリーマスはハッとした様に思案から戻って来れば、「どうしたんだい?」とレンに微笑みかける。
「大丈夫だから…あまり無理はしないで。」
そう言うレンの頭をリーマスは優しく撫でる。
心配をかけている事が嫌でもわかるのだろう。