一瞬クリーチャーは窒息するかの様にみえた。喉元を押さえ死に物狂いで口をパクパクさせ、両眼が飛び出していた。
数秒間必死で息を飲み込んでいたがやがてクリーチャーはうつ伏せにカーペットに身を投げ出しては両手両足で床を叩いて、激しく、しかし完全に無言で癇癪を爆発させていた。
そんなクリーチャーとは正反対に、ダンブルドアは嬉しそうにこれで事は簡単じゃと言う。
「シリウスはやるべき事をやった様じゃのう。キミはグリモールド・プレイス12番地とクリーチャーの正当な所有者じゃ。」
ハリーは嫌そうにジタバタとするクリーチャーに視線を向け「でも…」と呟きこぼしたが、レンはいても立ってもいられず、クリーチャーの側に膝をつき、そっとその頭を撫でれば、クリーチャーは驚いた様に動きを止めた。
「従いたくない事に従うのはとても辛いわよね。…でも、クリーチャー。これで良かったのよ。ベラトリックスはあのヴォルデモートに仕えているわ。レギュラスさんの様に…。ベラトリックスを貴方はどう思っているのかは判らないけれど、ヴォルデモートが望めば彼女は迷う事もなく貴方の命を簡単に差し出すでしょう。それでも良いの?」
レンがそう言うと、クリーチャーはまるで今よりマシだと言いたげに大きく頷く。
「貴方が奥様と呼んでいたお祖母様もそう願うと思う?」
クリーチャーは大きく頷く。
「レギュラスさんも?」
そう聞くと、クリーチャーは動きを止めると、大きく首を横に振った。
「レギュラスさんに、とても可愛がられていたのね。」
クリーチャーは瞳に涙を浮かべ大きく頷いてくれる。
「レギュラスさんの事、好き?大切?」
そう聞くとクリーチャーは大きく何度も頷いてくれる。
「なら、レギュラスさんが望む様に生きなきゃ。自らを死に追いやるかもしれない危険に、自ら近付いてはいけないわ。レギュラスさんの想いは彼との記憶は貴方の中で生きているんだもの。貴方の中で生きているレギュラスさんまで亡くならせないであげて?」
レンがそう言うとクリーチャーは暴れまわっていたのを辞めてはハリーの側にちょこんと正座をするが、その瞳は心底おぞましいものを見る様な目で見つめていた。
「僕、これからはコイツを側におかないといけないのですか?」
ハリーはクリーチャーを見下ろしそう言うも、ダンブルドアはキミがそうしたいのなら。とは言うが、自分の意見としてはホグワーツの厨房で働かせたらどうか。と言う意見にハリーはこれ幸いと言いたげにその提案に乗っては、そう命令をした。
あぁ、ダンブルドアはこうなることがわかっていたのだな。と、レンは密かに思ってしまう。
だから、ギルに監視の一人としてホグワーツで働く様頼んだのだ。