レンにはドラコが今危ない橋を渡っている様に見えていた。
そして、母親とは違い、今までとは違い、1人で戦いレンを護ろうとしてくれているように思える。
その事がレンの胸をきつく締め付けていた。
そしてスネイプの所にもナルシッサは守ってくれる様に頼みに行っていた。
本当にナルシッサはドラコを愛しているのだなぁと、レンは思ってしまった。
何分、何十分そうしていたのかは判らない。
ハリーはスラグホーンの部屋の方を見たままで、その腕はレンをきつく抱きしめたままだった。
暖かく、少し早めの心地よい心音が聞こえ、乱れた心を落ち着かせてくれるようだ…。
だがそれも最初の内だった。
強く抱きしめられ密着した体。
レンの両手はハリーの胸に添えられ顔も胸に埋め、その他ハリーに触れていない場所があるのか?と思えるほどの密着。
暖かくて心地が良いし、良い香りがするのも確かだが…意識し始めてしまえば心臓が煩くなり、息がし難くなってくる。
「あ、あの…ハリー?…そ、その…えっと…その、そろそろ…」
ぴったりと密着した状態でレンが紅い顔でハリーを見上げてそう言えば、ハリーは「え?」と今我に帰った様にレンを見た。
そしてその状況にハリーも顔を真っ赤にすると「ご、ごめん!」と慌てて離れて2人で逆方向を見つめた。
「あー…そんなに勢いよく離れられたら離れられたで、それはちょっと寒くて…寂しく…」
レンは薄着のドレスローブだった所為か、ハリーの顔を覗き込む様にしてそう言うと、照れで真っ赤になった顔をレンに向け、視線が合えば寒そうな顔はしてないと2人で顔を見合わせ笑ってしまった。
照れたまま気不味いまま、ではなくハリーがそう笑って手を繋いでくれ、レンはどこか嬉しかった。
「ねぇレン。あの話どう思う?」
「スネイプは本気ね。でもあのやり方じゃドラコはスネイプを頼らないとも思ったわ。…もしこの事をダンブルドアに話して、驚きも顔色も変えたりせずに、いつも通りの態度だったとしたら…ダンブルドアがスネイプへした命令の中に入っているのかもしれない。」
「どういう事?」
「私の記憶から基づく推測なのだけれど…」
「うん、それでも良いから教えて。」
「私が大怪我した時、あのメモを握らせてくれたのはスネイプだと思っているわ。あの薬品の香りとあの声…。そしてダンブルドアはそうする様に命令している様に思える。いわばダブルスパイね。でなければ会合の時にあんなに青褪めていないと思うし、あの時遅れて来た事も納得出来るわ。それにヴォルデモートが復活したあの場から私に生きろって言って救おうとはしない。…ダンブルドアは洞察力が素晴らしくて、とても頭の良い人よ。いつも私の行動もハリーの行動も把握している事が多いでしょう?そういう事を考えると、何かを察知して、ドラコを守る様に命令したのかも、って。どっちにしてもダンブルドアには話してみるべき事だとは思うけれど…。」
「そうだよな…去年も僕が言った事を理解して直ぐにダンブルドアに知らせを送ってくれたってダンブルドアが言ってた。その後レンの言葉もまた直ぐに送ったらしい。…ダンブルドアには言うべきだと僕もそう思う。」
レンの考えが聞けて良かった。少し考えがまとまってきたよ。とハリーは笑んでくれた。