第6話
次の日のは、レンに予想だにしない事ばかりが起こった。
「シシー、お止め!あの女は血を裏切ったんだ!」
「ベラ…でも私は姫君と一度話をさせていただかなきゃならないの。」
レンが母のお墓とシリウスのお墓に声をかけていた時だ。
向こうからその様な声が聞こえ、気付かぬふりをしながら杖を握りしめる。
先程から森が騒がしいと思えば侵入者がいたのだ。
森は森や其処に住まう住民を傷付ける者でなければ出入りが可能だ。
そして庭の境界線からは、人間ならばレンの許可がなければ誰も入る事が出来ない。
此処は屋敷の境界線の外で、森の結界の中。
今の彼女達はこの森にとって傷付ける者ではなかったという事だ。
傷付けようとした途端追い出されてしまうだろう。
「其処に隠れてないで出てきたらどうなの?」
レンが立ち上がりそう声をかけると、2人の女性がレンの目の前に現れた。
「ベラトリックス・レストレンジ…」
レンはその杖を構え、瞳を赤く変化させ妖しく輝かせる。
「無用心にも屋敷じゃなくてこんな所に居たのかい。随分余裕だね。」
「姫君…どうか、どうか…私の話を聞いていただきたいのです。」
ベラトリクスの言葉を無視するしナルシッサはレンに懇願する様に声をかけてくる。
レンはナルシッサにも同様の視線を向け睨みつければ、彼女は困った様に両手をあげて敵意がない事を示してくれた。
「ベラ…お願いよ。私を姫君と話をさせて頂戴。その為には此方には敵意がない事を示さなければならないの…。」
睨み合い続ける2人にナルシッサはそう言うと、無理矢理ベラトリックスから杖を取り上げ、自分の物と一緒にレンの方へと投げて寄越した。
「アンタ、シシーに何かしてごらん。お前を殺してやる。」
「あら、同じ言葉を返してあげるわ。シリウスを奪った貴女を許しはしない…私が許されざる呪文を使う相手は1人だけだって決めていたけれど、あの時みたいにアンタにも余裕で使えるわ。殺して欲しくなる程に磔の呪いで苦しめてから殺してあげましょうか?それとも服従の呪いで貴女の愛しい我が君を裏切らせてあげましょうか。」
「言ってくれるじゃないか。」
「ベラ、止めて!」
憎しみの篭った瞳で見続ければ、ベラトリックスとレンの間にナルシッサは立ち、盾になるようにすると両手をあげ続けている。