「中へ。」
行列がたちまちシーンとなれば、スネイプがそう言い、皆は中に入り始めた。
レンは辺りを見渡しながら入れば、なんと悪趣味な絵が多くあり、その描写に思わす目を背けた。
身の毛もよだつ怪我や奇妙に体がねじ曲がった体の部分を晒して、痛み苦しむ人の姿の絵だったのだ。
レンとハリーは隣同士で席に座れば、大丈夫?と言いたげにその背を撫でてくれ、レンは小さく微笑んだ。
スネイプは扉を閉め、教壇へと歩きながら「我輩はまだ教科書を出せとは頼んでおらん。」と一言言い歩いていく。
「我輩が話をする。10分、傾聴するのだ。」
スネイプの瞳が生徒それぞれを見つめてからまた口を開いた。
「我輩が思うに、これまで諸君はこの学科で5人の教師を持った。当然、こうした教師たちは、それぞれ自分なりの方法と好みを持っていた。こうした混乱にも関わらず、かくも多くの諸君が辛くもこの学科のOWL合格点を取ったことに、我輩は驚いておる。NEWTはそれよりずっと高度であるからして、諸君が全員それについてくるようなことがあれば、我輩はさらに驚くであろう。」
スネイプは今度は低い声で話しながら教室の端を歩き始め、クラス中がそれを追うように首を伸ばす。
「闇の魔術は…多種多様、千変万化、流動的にして永遠なるものだ。それと戦うと言うことは、多くの頭を持つ怪物と戦うに等しい。首を1つ切り落としても別の首が、しかも前より獰猛で賢い首が生えてくる。諸君の戦いの相手は、固定できず、変化し、破壊不可能なものだ。」
確かに闇の魔術は危険な敵で、侮ったものからそれにやられ命を落としていくだろう。
だが、スネイプの声色はどこか優しくそれを言い、レンは小さく首を傾げた。
「諸君の防衛術は」スネイプの声がわずかに高くなった。
「それ故、諸君が破ろうとする相手の術と同じく、柔軟にして創意的でなければならぬ。これらの絵は、術にかかった者達がどうなるかを正しく表現している。」
スネイプは明らかに苦痛に悲鳴をあげている魔女の絵を指して「例えば磔の呪い。」と言い、次は壁にぐったりと寄りかかり虚ろな目をして蹲る魔法使いの絵を指し「吸魂鬼のキスの感覚」、地上に血だらけの塊の絵を指し「亡者の攻撃を挑発したもの。」と言葉を続けていく。