少し道が開けた場所まで来ると、視線を感じた。
じっとこちらを見ている気配…ハリーにトランクを渡せばハリーもそれを感じているのか杖をトランクから取り出し、構えるとジッと気配をする方を見つめた。
「ルーモス!」
ハリーは杖から光を放つ。
するとガレージの扉の辺りに、大きな瞳がじっと此方を見ている。
レンもそれに杖を構えたが、瞳に映ったのは犬だった…真っ黒な…とても真っ黒な犬だった。
野良犬なのか、とても大きな体は痩せている様に見えた。
レンはその犬をよく見ようとした時、隣にハリーが居ない事に気付き辺りを見渡す。
だが、視線の先にハリーは居ない。
ふと視線を下げれば、脇の排水溝にハリーの姿があった。
「ハリー…何しているの?」
「後ろに下がったら、落ちた」
ハリーは少し恥ずかしそうにそう言うと、レンは小さく笑いながらハリーに手を差し出した。
ハリーがその手を取った時、バーンッという大きな音と共に、周りが目の眩むような光に包まれ、レンは血の気が引いた。
ハリーもそれがなんだか判ったのだろう、2人とも悲鳴を上げて慌てて転がり歩道へと戻る。
危機一髪とはこう言う事を言うのだろう、その瞬間、ハリーが倒れていたその場所には巨大な三階建てのバスが止まっていた。