「ハリー…貴方、杖腕を上に上げたわね?」
「あー…多分」
レンがそれに少しだけ苦笑すると、バスの中から一人の男性が降りてきた。
バスとお揃いの紫色の制服を着ているところを見ると、車掌かなにかだろう。
「『ナイト・バス』がお迎えに来ました。迷子の魔法使い、魔女たちの緊急お助けバスです。杖腕を差し出せば参じます。ご乗車下さい。車掌として、今夜…」
そこまで言うと彼は黙った。
年はレンたちと変わらない…そう思えるような外見の彼はハリーに釘付けだ。
いや、寧ろ道路に座り込む自分達に釘付けなのだ。
「そんな所ですっころがって、いってぇ何してたんでぃ?」
すっかり車掌言葉を忘れている。
「転んじゃって…」
「何で転んじまった?」
「わざと転んだわけじゃないよ」
ハリーは普通に彼にそう言うと、立ち上がった。
レンは座ったままハリーを見れば膝の部分が破け、視線にあった手は血が出ている。
「手を…」
レンがそう言うと、ハリーは不思議そうにしていたが、レンが見ている手を自分で見ると納得したようだった。