「ギル?」
ある昼下がりレンは、いつもの様に、いつもの揺り椅子に座り彼の名を呼び、リーマスはソファで本を読みながらその様子を眺めている。
「お呼びでございますか?」
ギルは名を呼ばれれば、キッチンの側にある自分の部屋から急いで姿を現す。
元々シャルが使っていた、屋敷しもべ専用サイズの部屋だ。
ギルはシャルの部屋を使う様になってから、何故だかシャルを心の師匠と崇め、毎日朝昼晩とシャルのお墓にお参りする事を忘れない。
「はい、これ。」
レンは小さな布で出来た物を手渡せば、ギルは驚き飛び退く。
「私めは解雇でございますか?何か至らぬ点があったのでございますか!?」
涙を浮かべてオロオロするギルにレンは笑い声を上げた。
「レン、あまりギルを苛めてはいけないよ。」
リーマスがそれに笑いながらも言えば「苛めてないわよ」とレンは言う。
「ギルは初めて此処に来た日、その片目を見られるのが嫌みたいだから、眼帯作ってみたの。お友達に贈り物をしてはいけないかしら?」
ギルは驚き「本当に解雇ではないのですか?此処にいてもよろしいんでございますか?」と再度確認し、レンが頷けば恐る恐るそれを受け取り身に付けた。
ギルのサイズにぴったり合っており、自分で何処からか鏡を取り出して眺めれば、嬉しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねて、何度も何度もお礼を言い、レンはなんだかそれがとても可愛らしく思えた。


それから数日の間、シリウスから数通とロンからも宣言通りに梟便が届いた。
『レン、元気?僕は元気だよ。コイツの名前が決まったから手紙を書いてみたんだ。えっと、コイツの名前はピッグウィジョンに決まったよ。ジニーが名付けたんだ。けど長くて覚えられないみたいでピッグって呼んでる。列車の中でクィディッチワールドカップの事話したよね?パパが多めにチケットを貰ったんだ。レンも一緒に行かないか?』