ハーマイオニーはその言葉に見る見る顔を紅くし、そうとは思ってないと呟き、出て行こうとはしなかった。
ムーディは1人1人スペースに呼び出しては服従の呪文をかけ始めた。
呪いの所為でクラスメートが可笑しな事をするのをただ見ているしかない。
「クレスメント」
ムーディがそう呼ぶとレンは教室の中央へと進み出た。
ハリーやハーマイオニー、ロンの中ではトップバッターだ。
「インペリオ!服従せよ!」
ムーディが杖を上げ、レンに向かってそう唱える。
呪文にかかってしまえば、最高に素晴らしい気分だった。
今まで自分の罪も悩みも全てが優しく拭い去られ、大きな幸福感が身を包む。
…踊れ…
大きな幸福感の中、遠くからムーディの声が聞こえ命じてくる。
…踊るんだ…今すぐに!
レンの脚が一歩前へと踏み出した時、レンははっきりと”嫌”と言う思いを貫いた。
すると、先程の幸福感は一気に無くなり、自分にかかっていた色々な重みが心を支配する。
そう、自分にあんな幸福感はあって良い筈がない。
「よし、それで良い!流石はクレスメントの血筋だ。クレスメントの魔力が守っているのだろう…常人には真似の出来ぬ代物だ…さて、次はポッター!」
レンは先程の席に戻り、それと入れ違いにハリーが前へと進み出る。
ハリーもレンと同じように呪文をかけられ、瞳が虚ろとなる。
飛べ!と命令されているのか、ハリーが膝を折り飛ぶ体勢に入ったが、そのまま動きが止まる。
ハリーもあの幸福感の中から命じてくる声に抗っているのかもしれない。
そして、ハリーはその場でジャンプして見せるが、強い眼差しでムーディを睨み、ジャンプを抑えようとする確かな意志があった。
その2つの戦いに、ハリーの体は中途半端にジャンプをし、机に脚をぶつけ痛そうな音が響いた。
「よーし、それだ!それで良い!」
レンが服従の呪文を破った時とは違い、ムーディはハリーの行動に興奮したような声をあげる。
「お前達見たか…ポッターが勝った!戦って、そして、もう少しで打ち負かすところだった!もう1度やるぞポッター。後の者はよく見ておけ。クレスメントのような特別な力がなくても、この呪文に勝てるという事を学ぶのだ。ポッターの目に鍵がある!まっこと良いぞ!やつらはお前を支配するのにはてこずるだろう!」
それから1時間、ハリーは4回も服従の呪文にかけられ、完全に魔法を破るまで続けさせられ、フラフラになりながら教室を後にした。