これが、この世界の国の在り方。 久しぶりにこんなにたくさんの人間を目にしました。 久しさ ミュウツーさんたち皆と一緒に、木の葉の里とやらに移り住んでから、そろそろ一週間が経つ頃。 外には出ていなかったので、里の様子がどんな感じなのかは全く分からない。 けれど、今日から「アカデミー」に入学するとか。 遂に、初めて自分の足でこの里を歩く日がやってきた。 「…いってきます」 「(……)」 玄関先に立つのはミュウツーさんとフ―ディンさん。 「いってらっしゃい」と言ってくれているのが静かに伝わってくる。 私は、それに静かに頷くと、一瞬でテレポートによってアカデミーに飛ばされた。 「はいはーい先生!俺ってば俺ってばさ!今日はちゃーんと席に着いてるってばよ!」 「ナールトォォオ!!お前はまた何か企んでるな!今日は新入生が入ってきたんだ。今日くらいは大人しくしてるんだぞ!」 「だからこうして大人しくしてるじゃんかよ!疑ってんじゃねーってばよ」 「それなら、今日一日しーっかりとそこにいるんだぞ」 「げっ…」 「『げっ』、とはなんだァアア!!」 ざわざわと騒がしい教室に、ようやく先生が入ってきたと思ったら、さらに騒がしくなった教室。 私は、廊下側の端の席でぼんやりと前を見つめていた。 すると、どうやら喧騒が収まる頃には、怒られていた男の子は教室を抜け出していたらしい。 先生がため息を吐きながら、出席簿に手を伸ばしていた。 呼ばれる名前に、順々と生徒たちが返事をしていく。 その際、一際大きな歓声が上げられていたけれど、私はその歓声にすら気がつけないほど、ぼんやりとしていた。 自分の名前が呼ばれる頃に、不意に横の席の男の子が私の肩を叩いていた。 「おい、アンタ呼ばれてんぞ」 「え」 「出席の名前だよ」 「あ…はい」 肩を叩いてわざわざ呼んでくれた男の子に、私は一瞥を投げる。 そして、小さく「ありがとう」と伝えると、ようやく先生に返事を返した。 「お前、寝てねーのか?」 「え…いえ」 「ま、いいけどよ。俺は犬塚キバってんだ。よろしくな」 「よ、よろしくお願いします」 モサモサとしたフードを頭に被った男の子が、席の横から声を掛けてくれる。 それに、こくりと返事をしていれば、どこからかひょっこりと白い子犬が顔を覗かせた。 「…ぅ、あ」 「おお!コイツは赤丸ってんだ!」 「あか、まる」 「おお。コイツともどもよろしくな」 「ぅ、ん」 ニカりと笑った大きな笑顔。 それは自分にとって久しぶりに見た人間の顔だった。 前の世界では見慣れていたものだったけれど、なんだか久しぶり過ぎて、どう反応していいのか忘れてしまった。 というより…ミュウツーさんたちと一緒の方が気楽だ。 たのしいし…。 私は、彼の笑顔には頷くことで返事をした。 気にした様子はなかったけれど、どこかやはり不思議に思われたみたいだ。 こてんと首を傾げられてしまった。 ま、いっか。 (不思議な奴だな) (あ。授業が始まる)