「ばいばーいっ。」
「また明日ねぇ〜!」


「じゃあね〜!」


友達と別れていつもの道を歩いて家に着く。
2人で暮らすには少し大きな一軒家が私の家。門を開けてすぐに玄関がある。
鞄から鍵を取り出して鍵を開ける。ここまでは今まで通り。



「えっと、暗証番号……。」


おじいちゃんの部屋に入ってクローゼットを開けるために壁に埋め込まれてる電子機器に数字を打ち込めば、カチャンッと音がして扉が開く。
これは何度見てもすごい。意外とうちはカラクリ屋敷なのかもしれない。



「じゃなくて……っ!早く入んないと。」


システム上、扉を開けてから1分経つと自動的に閉まってしまいまたロックがかかって暗証番号を入力しても中からの認証がなければ10時間以上入れない。
しかも暗証番号は毎日変わるという。毎朝学校に行くときに、ファミリーの人が教えてくれるけどうっかりすると忘れてしまいそうだから不安だ。


地下に続く階段を下りればそこがマフィアの基地であり、ここが私の新しい家。
無機質な雰囲気が最初は怖かったが、ようやく最近慣れてきた。



「おかえりなさい、菜緒さん。」


「チョロ松さん!ただいまです。」


いつでもビシッとスーツで決めてるチョロ松さん。
彼と知り合ってから1週間ほど経ったけど、スーツ以外の洋服を見たことがない。



「今日は会っていただきたい方がいます。
ついてきてください。」


「あ、はい。」


「前にも少し話しましたが、暗殺部隊は私を含めて6人しかいません。
今日はそのうちの1人に会ってもらいます。」


「6人しかいないんですか?」


「はい。暗殺は素早く相手に気づかれることなく相手を制圧することです。
人数が多すぎのはただの殴り込みです。」


最後にふっと笑った顔がとても可愛かった。6人でもしっかり仕事をこなす。それがプロというものなんだろうか。
チョロ松さんはとても優しい。
こうして一緒に歩くときのスピードも私に合わせてくれたり、ちゃんと着いてこれてるかの確認なのかちょこちょこ目が合う。






「ここです。入るよー、トド松。」

ノックをしながらそういったチョロ松さんは相手の返事も聞かずに、扉を開ける。
え、待って、松?






「もぉーチョロ松兄さん、勝手に入ってこないでよぉー。」


「ノックした。」


「でもまだ僕返事してませーんっ。」




同 じ 顔 ・・・ ? !




「紹介します。トド松です。」


「初めまして、菜緒ちゃん。」


「はじ、めまして…。」


「トド松にはこの基地の管理とか主に機密情報の管理をしてもらってるんだ。」


「ハッキングとかも得意だよん。」


あ、でも性格が全然違うかも。
なんか、女子力高そう。しかもYシャツの色がピンクだ。


「もし暗証番号とか忘れてしまったらトド松が開けてくれるようになってるので。」


「すごいですね。こんなにたくさんのパソコンを…。」


トド松さんの部屋には監視カメラの映像や5台のパソコンが置かれていて、彼が作業しやすいように設置されていた。


「これ、全部使うんですか?」


「んー全部一気に使うことは滅多にないけど、でも全部用途が違うからね。」



用途が違うとパソコンも違うのか…。
私は動画見たり、課題やるときくらいしかパソコン使わないからなんか遠い世界だ。



「はい、これっ。僕の番号とアドレスだから何か困ったら連絡して?
そんでこれが無線機。」


渡されたピンクのハートがいっぱいのメモ用紙には可愛らしい字で書かれた数字とアルファベット。
可愛いものが好きな人なんだなぁ。



「え、無線機ですか?」


メモ用紙に目を奪われてて気づかなかった…。


「うん。僕、基本ずっとこうしてつけてるからこっちのほうが連絡取りやすいと思って。
6番を押してくれれば僕につながるから。」


「ちなみに僕は3番です。」


「ピピッて言ったら着信だからこの赤いボタン押して。んで、耳に入れれば通話出来るから。」



耳につけてもらった無線機は、なんだかちょっとカッコよくて。
なんだかSF映画の世界にきたみたいでワクワクする。




「これからよろしくね、菜緒ちゃん!」







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