トド松さんを紹介してもらったあと、部屋に戻って楽な恰好に着替えて基地の中を散策しようと思って歩いているとチョロ松さんが目の前を横切った。
青のYシャツも持ってるんだなぁ、とのんびり。ほんとにここはマフィアの基地なのかと思うくらい平和だ。


「どうしたんです?こんなところで。」


「?! チョロ松さん?!」


「?」


「あれ、今あそこから…あれ?」


「どうかしました?」


しかも緑のYシャツ着てる……っ?!
あれ、さっきのは誰だ!?



「あ、トド松さんですね!!」


「……だからさっきからどうしたんです。」


納得!
確かにチョロ松さんとトド松さん、性格は真反対だけどすごく似ているし。
名前に松がついてるし「チョロ松兄さん」って呼んでたからきっと兄弟なんだな。



「あ!いたいた、チョロ松兄さん。ようやく見つけたぁー。」

「え……っ。」


「はいこれ。頼まれてたやつの資料。」

「あぁ、ありがとう。」


目の前には確実に緑のYシャツを着てるチョロ松さんとピンクのYシャツを着てるトド松さん。
てことはさっきの青のYシャツは目の錯覚で実は緑だったとか?
でもチョロ松さん、私の後ろから声をかけてきたしわざわざ回ってきたとか?
そんな遊び心がある人には見えないしな……。てことはもしかして幽霊?!!
落ち着け。落ち着け私。そんな高校生にもなって幽霊だなんて…っ。てかまだ18時。出るのはやすぎ。



「あ、トド松。「ぎゃああ!!!
































「………本当にすみませんでした。」



深々と頭を下げる。



「いやーしょうがないよ。シコ松兄さんがちゃんと説明してなかったのが悪いんだしぃ?」

「トド松。女性の前でやめなさい。」


時は遡って10分ほど前。
私の脳内は幽霊でいっぱいになってるときに後ろから声をかけられ(私にじゃないけど。)それに大いにビビった私は大きな声を出してチョロ松さんに掴んで振り向けば、チョロ松さんとトド松さんにこれまたそっくりな青いYシャツの人が立っていて、またそれにびっくりした私は近くの部屋に逃げ込みふぅ、と安心した矢先目の前にいたのはこれまたチョロ松さんとトド松さんにそっくりな紫のYシャツに白衣の男性。
ついにパニックを起こした私は、とりあえずその部屋を出て基地内を全力で逃げれば「うぉぉぉおおお!!」と言いながら私を追いかけてくる黄色いYシャツの男性。
これは悪い夢だ……っ!!と思って目をつぶってしまった瞬間に壁に激突して私の逃走劇は終了して今に至る。



「ふっ、そんなに俺が輝いていたのか……罪な男だ。」

「黙れクソ松。料理に毒盛るぞ。」

「あははははっ!!鬼ごっこ楽しかったねぇー!!」



なんて個性的な人達なんだ……っ!!



「青がカラ松。
緑が僕、チョロ松。
紫が一松で黄色が十四松。
最後にピンクがトド松。………覚えてくれた?」


「はい!私も暴れてすみませんでした…。」


みなさん、アイドルの担当カラーみたいに自分の色があるらしくその色のYシャツやジャージを着てることが多いらしい。
それにしても兄弟ってこんなに似るもんなんだなぁ。
私にも兄弟がいたらこんなに賑やかなのかなって想像してみたりする。




「俺は戦闘員だからあまり基地ん中で仕事してることはねぇが、まぁよろしくな。
菜緒のことは俺が命に変えてでも守ってやるから安心しろ。」

「ありがとうございます。」


カラ松さんはきっと女性にすごくモテるタイプなんだろう。
こんなかっこいいセリフを照れずにさらっと言えるのはすごいと思う。



「俺は一応医者やってる。あとは毒薬作ったり、みんなの武器整備も俺の仕事。
クズなんかに守られて嬉しくないと思うけど仕事だから。」

「医者…っ!じゃあ頭いいんですね!」


一松さんは無口で黙々と仕事をしてそうだ。
それでいて医者だなんて頭がいいに違いない!



「僕もカラ松兄さんと一緒だよ!好きなものは野球!
よろしくね!菜緒ちゃん!!」

「はい!よろしくお願いします!」


十四松さんはとにかく明るいし、さっきは恐怖でしかなかったけど本当に足が速かった。
運動神経いいんだろうな。……分けて欲しい…。








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