01あ、やば。そう思った時にはもう遅くて。
握りしめたスマホごと手をついたらやばい。でも手をつかなかったらきっと顔面から地面にダイブ。それはもっとやばい。
頭の中を埋め尽くす"やばい"の中から最終的に選んだ選択肢、膝と肘で受け止める作戦はスマホと顔面を守ってくれた代償として私にズキズキ痺れるような痛みと大きめの擦り傷を残した。
現在時刻は午後10時すぎ。
ひさびさに集まった女友達4人とご飯を食べてきた帰り道。
「とうとう私も彼氏持ちになりましたー」という友人の報告から始まったごはん会は当然のごとく盛り上がり、乾杯を繰り返すこと・・・何回したんだろ。正直5回目の乾杯以降あまり記憶が定かじゃない。
お酒が得意じゃなく日頃は飲んでも2、3杯の私もテンションが上がって調子よく飲んで。
まあつまりは駅前で解散した後、ほろ酔いのと楽しい気分を引きずったまま1人帰路についているのである。
珍しくラブソングでも聴こうかなあ、なんてスマホのプレイリストを漁っていたので、ちょうど前方から視線を外していて。
気づいた時には目の前にフラッフラの千鳥足で歩いてくるおじさん。避けきれるわけもなくすれ違いざまに結構な勢いでぶつかられてしまった。
普段ならば多少ふらついたとしても踏みとどまれたはずなのだが、いかんせんタイミングが悪い。すこぶる悪い。
突き飛ばされた勢いに押されて2、3歩後退したそこには側溝。挟まったパンプスのヒールがぽっきり。―――これ奮発したお気に入りだったのに!
そしてアスファルトに思いっきり衝突した肘と膝がご臨終。あまりの痛みに確認すると、膝の方はストッキングが破けた上に結構酷い擦りむけ方をしていて血まで流れてる。
「さいっあく・・・!せめて一言詫びて去れ!」
そりゃ前方不注意のわたしにも過失はある。でもそれは酔っ払いのおじさんも同罪でしょ!ふざけんな!
人にぶつかった自覚すらなかったのか既に遠のいている後ろ姿に向かって毒づく。不幸重なりすぎじゃない?酔いも醒めたし気分は最悪。とりあえず足痛い。
そして追い打ちをかけるようにダメ押しで不幸がもうひとつ。
「大丈夫ですか?立てますか?」
なんと、こける瞬間からばっちり見られていたらしい。元々飲まない方だけど、当分お酒はいいや。
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