02「あ、すみません。大丈夫です」
私がなかなか立ち上がらないから心配してくれたのかな。優しすぎる。立て続けにいろいろ起こりすぎて混乱してただけなんだけど。
とりあえず立ち上がってはみたものの、膝は痛むしヒールは折れてるしでふらついた。思っていたより膝の怪我がひどい。
「あっ、」
「あああすみませんすみません!ありがとうございます!」
私が崩れ落ちて二次災害を引き起こす前に支えてくれたその人を見上げ――うわ、男の人?男の子?結構かっこいい。
恐らく170cmは軽く超えているであろう長身、ふわっとした黒髪、キリッとした眉、私と同年代っぽい真面目そうな顔つきのジャージ姿の彼に一瞬目を奪われる。
「いきなり触ってしまってすみません。もう一度膝をついたら傷が酷くなると思って」
「あ、いえほんと助かりました。既に自分の膝見れないくらいなんでこれ以上ひどくならずに済んでよかった・・・」
このご時世たまたま道で遭遇した初対面の女にここまで優しく対応する人なんている?さっきのおじさんも見習ってほしいくらいだ。
「とりあえず血も出てますし傷口を洗った方がいいと思うんですけど、あの、ここからすぐのとこに公園あるの分かりますか?」
「公園・・・ちょっと分からないんですけど確かに傷を洗いたいので場所だけ教えていただけますか?」
すぐそこにあるならスマホで調べるより彼に聞いた方が早い。ご迷惑かけっぱなしで申し訳なく、萎縮しながら尋ねると、
「もし良かったら公園までご一緒します。3分もかからないとこにありますけどその傷だと歩きにくそうですし、」
「あ、えーっと、いや!あの、そこまでしていただくわけには!大丈夫です!お気遣いなく!ありがとうございます!」
あまりに親切な申し出すぎて裏があるのではないかと疑ってしまう。助けてもらって失礼だけど。自衛大事。単純にいい人なんだと思うけどね!念の為ね!
「そうですよね。気を遣わせてしまってすみません。公園はまっすぐ行って次の通りを左に曲がってすぐのところにあります。お気をつけて」
せっかくの心遣いを無下にしたというのに顔色を悪くすることなく逆に謝られてしまった。いい人すぎる。
「ほんとありがとうございます。それでは、」
ちょっとふらつくけど歩けないほどではない。膝だって痛みのせいで曲げられないけど酷いのは右で左はかすり傷程度。お前は強い女だろ#夢#。このくらい耐えろ!
彼に軽く会釈して、教えて貰った公園へ向かって歩き出す。思ったよりがんばれ・・・ないわ!痛い!すごく痛いよ!
動かした所為で傷口から血が溢れ出た感覚がする。こんな怪我するの久々だからなのか痛みに弱くなってるみたい。歳?やだ!
のろのろと、しかし必死に歩みを進めていると、「すみません、待ってください!」と後ろから呼びかけられた。
「やっぱり公園までご一緒してもいいですか?俺、梟谷学園2年の赤葦です。怪しい者じゃないです。生徒手帳もお見せできます。どうしても心配で気になってしまって・・・、」
「っ、あはははは・・・!」
「えっと、」
「笑っちゃってごめんなさい!分かってはいたんですけどあまりに真面目ないい人すぎて面白くて」
自己紹介してまで付き添ってくれようとするその優しさに「じゃあ、公園まで手をお借りしてもいいですか?」と尋ねると「・・・もちろんです」の返事と共に歩きやすいようサポートしてくれた。
「・・・ん?梟谷学園?え、まってまさか高校生・・・?」
「そうです」
「(高校生に助けられたのか私)」
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