それでも私は……

はじめて見たときは、暗い人だと思った。黒いねっとりしたような髪に黒い瞳、土気色の肌。同じ寮になるなんて……とも思った。

でも、そんなあなたと私は、魔法薬学の授業でペアになった。たまたま私の友達が体調不良で、医務室に行ってしまったことが原因だった。

私は、内心不服だったが、彼の手際の良さに感動したのだ。

「Mr.スネイプって、とても手際良くやるのね。……私、はじめてあなたのような人見たわ」

彼は一瞬こちらに目を向けた。だが、すぐに鍋をかき混ぜ始めることに集中しなおした。

「……ありがとう」

小さい声だったが、彼が返事するのが聞こえた。

「私の名前はメアリー・アルフォードよ。宜しくね、Mr.セブルス・スネイプ」

そう言って、私は芋虫を切り刻むのを止めて手を出した。

「……よろしくMs.アルフォード」

彼は鍋をかき混ぜていない方の手を出した。

「メアリーと読んでちょうだいな。セブルスと読んで良い?」

「ああ、構わないよ。メアリー」

これが、彼との初会話だった。



スリザリンは純血の者が集うところ。私は、半純血だったため、あまり輪に入ることができずにいた。そんな私でも、ルームメイトの友人が数人と、他にも数える程度はできた。

一方、彼は友人ができたとは思えなかった。彼はいつも一人で本を読んでいたから。話す人居ないのかと、私は彼に声をかけたりしていた。友人に「あいつなんか、ほっとけば?」と言われても、私は彼に挨拶をしたりした。



彼の仲いい人に、私はなりたかった。

いや、違う。私は彼の、セブルスの笑ったところが見たかったのだ。



そんなある日、大広間で昼食を取ろうとしたときだった。

「セブ!元気にしてた?寮が離れちゃったから、どうしてるか心配してたの!」

「リリー!僕は変わらないよ。君こそ元気かい?」

彼と話してる人を初めて見た。聞き慣れない声だった。それもそのはず。相手はグリフィンドールの子だった。赤い髪にエメラルドの色をした瞳。誰がみてもかわいいと思える子だった。

私なんか、鈍いブロンズの髪に茶色の瞳だというのに。

そんな、リリーと呼ばれた赤い髪の少女とセブルスが会話してるのを、私は盗み見ていた。

私は、彼が笑っていることに気づいた。


ああ、その子にはそんな顔をするのね。


私は、自分に嫉妬という感情が芽生えたのがすぐにわかった。

どうしようもなく、彼女に嫉妬しているのだと、情けなくなった。そして。

私は彼に恋い焦がれているのだと、嫌でも思い知らされた。でも、きっと彼は私のことなど歯牙にもかけていないのだろうことは、一目瞭然だった。だって、彼は私と話すとき、目をあわせてくれたことは最初のとき以来、一度もないのだから。

それでも私は……。



彼の笑顔を、この私自身の手で見たかった

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