夢と願いを輝星に込めて。


「……凉の子供の頃の夢はなんだったんだ?」
 花奈さんは、少し酔ってきたのかきゅっとしがみつきながら、俺に聞いてきた。
 幼い頃の夢、か。
 俺は少し考えた後、こう答えた。
「幼い頃から父さんのような医者に憧れていた──気もするし、別の職業に憧れてたかも知れないからなぁ。
ごめんね、よく覚えてないんだ。」
「そう、か……」
 花奈さんは少し残念そうな表情でグラスに残ってたお酒を飲む。
 酔いが回ってくると、とろんとした瞳で俺に上目遣いをするのだった。
「なでなで、して?」
「はいはい。」
 頭を撫でると花奈さんは、えへへと抜けたようなかわいい声を出し、俺に抱きついて来た。
 本当なら、花奈さんの夢はなんだったの?と聞きたいが酔ってる時にその話はさすがに禁句だろう。
 そこで、俺は別の話を持ち出した。
「そういや、今日は七夕だね。」
 花奈さんはふにゃ?と言う擬音が似合うような感じに、少し顔を上げる。
「りょうはなんかねがうのか?
たとえば、おれとずっといっしょにいたいとか……さ?」
 酔ってる花奈さんは素直度が上がるのか、すりすりと頬を寄せてくる、かわいい。
「そういう花奈さんは願い事あるの?」
 花奈さんは少し考えてぎゅっと抱きつき、キスをしてきた。
「……りょうとずっといっしょにいたい、いっしょにおさけをのんれたい。」
 花奈さんは幸せそうな笑顔で願い事をいくつも言っていたが、あるタイミングで、少しだけ暗い表情になる。
「あとは…………りょうがしんだときは、おれもいっしょにしにたい。」
 そう言った後、弱々しい声で泣き始めた。
「酔ってる時は願い事の話もダメかぁ……。」
「いっしょがいいの、いままれも、これかも……。」
 俺は、花奈さんのグラスにお酒を注いだ。
「のんれ、いいの……?」
「うん、泣き止むまで甘えてもいいよ。」
 花奈さんは眠いのも混じってるのか涙をごしごしと拭き、お酒をこくこくと飲み泣き上戸になったのだった。
「よしよし、気が済むまで泣いていいからね、ごめんね、ごめんね。」
 子供をあやすように抱っこしてると少し落ち着いたのか、花奈さんは不規則な呼吸をしながら眠ってしまった。
「──やっぱり、読心能力には勝てないかぁ。
俺も、花奈さんとずっと一緒にいたい。
もちろん────死ぬときも一緒だよ、花奈さん。」
 俺は少し涙混じりの声でそう言った後、花奈さんの頭を優しく撫でたのだった。

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