05

再会した時に動揺が隠せなかったのは致し方ない事だと思う。

その子供は戦場をさまよっていた。死体の陰に隠れながら戦火を免れ、草を食みながら必死に生きながらえるその姿が過去の己と重なり、気付けば拠点に連れ帰っていた。

しばらく面倒を見ていたがいつの間にか姿を消していたそいつは、きっと俺たちに愛想を尽かしたのだろう。俺たちは紛れもなく戦争の一因だった。それでもそんな中で子供が一人で生きていくのはつらく苦しい。いつか戻ってくるだろうと思っていたが、結局戦争が終わってもそいつは姿を見せることはなかった。

「……だってのに、お前は出会いも別れも再会も、全部が急だな十六夜よォ」
「まさかまた会えるとは思ってなかったよ。本当に偶然だ」

ファミリーレストランの一角。目の前で頬杖を突きながらこちらを眺める十六夜に、何だか居心地の悪さを感じて視線を逸らしイチゴパフェをつつく。散々死んだ魚の目だのと言われる俺が言うのも何だが、十六夜の目は据わっていてどこか気味が悪いのだ。昔はこうではなかったはずなんだが、知らない間に何があったんだか。

「それで? 何してたんだよ今まで。っていうかお前、よく生きてたな」
「よく生きてたな、ねェ。そりゃあこっちの台詞だけどな」
「……何か怒ってる? 俺何かしたか? アレか? 高杉がお前にって買って帰ったヤクルコ勝手に飲んだことか?」
「そんなこと今更持ち出して怒るかよ」

俺がアンタに言っておきたいのはな。

その後に十六夜の口から飛び出した話は、どうにも信じがたくて、それでも真実だと訴えてくるのは他でもない俺自身の、あの日の記憶だった。

「まァ過ぎたことをうじうじ責め立てたって、何にもならないことくらいよく知ってるさ」
「……じゃあ何。お前は俺にどうしてほしいんだ」
「簡単な話だよ。俺の共犯者になってくれ」

こいつの強かさは筋金入りだ。それはあの頃からずっとそうだった。俺に拒否権はあってないようなモンだ。

「共犯者ね。一体何しようってんだ?」
「んー、まァとりあえず」

――失くした時間を満喫するところから始めようと思う。

怪しげなカプセル錠をチラつかせながら笑う十六夜に、俺は口元を引きつらせるしかなかった。