惚けた顔でぼうっとスマホを眺めている都。
きっと眠たすぎてぼんやりしているんだろうけど、この時の都は少し面白い。

「都」
「…ん?」
「今晩何食べたい?」
「…んー…からあげ?」
「じゃあ唐揚げ作ろうか」
「ん…やったぁ」

 スマホから顔を上げずにぽつりぽつりと答える。
 そのまま続けて何度も話しかけていく。それでもさっきと同じようにぽやぽやとした顔で「んー…」なんて答えている。

「次の休みどこ行きたい?」
「……家?」
「…じゃあ俺の事好き?」
「うん…だいすき……じゃない!待ってぼーっとしてた!」

 ばっと顔を上げて目を大きく見開いた都。
 ブンブンと顔を振って慌てたように訂正する姿はいつ見ても少し面白い。

「じゃあ嫌いなのかい?」
「いや、まあ…嫌いだったら…一緒に住んでないけど、好きじゃないよ」
「ははっ、酷いなぁ都は」
「サエが私と住みたいって言うから住んでるんじゃん!」
「他の男が都と住みたいって言えば、都はそいつと住むの?」

 なんて意地悪な質問をしてみればもごもごと口ごもったように「そうじゃ、ないけど…」と素直じゃない回答。
 素直に好きって言えばいいのに、すぐにそうやって意地を張ってしまうところも都らしくて好きなんだけどね。


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