ひとまり すけべ




 らんらんにちょっかい出すんじゃなかった、なんて後悔してももう遅い。

「ねぇ、まり。どうなるかわかってやったよね?」
「エッ、何のことかわからないですね」

 逃げようとキッチンまで足を動かしてみるがっしりと掴まれた腕がそうさせてくれない。男な上にらんらんはそこそこ鍛えてるし、力で勝てるわけないんだよなぁ…なんて諦めればあれよあれよの内にベッドの上に押し倒されて。

「よくないと思う。明日仕事じゃん?やっぱりよくないと思うんだよね……」
「まりのせいじゃん、こうなった責任取ってよ」
「そりゃないですよお兄さん」

 ほんのちょっと、出来心で腹筋触ってただけじゃん……。なのに何で半勃ちなの?怖い。
折角の休みがこうも潰されていくなんて思ってもいなかった。

「お互い仕事忙しくてご無沙汰なんだしいいだろ?」
「あ〜馬刺し食いてぇ〜〜」

 現実逃避するように顔を横にもたげながら呟く。馬刺し食って酒飲んで猫キメてぇな……なんて軽い現実逃避。

「わかった、じゃあ終わったら馬刺し食べに行こ」
「しないで食べに行く、という選択肢は?」
「ねぇよな」

 そんな無情な一言により服はらんらんの手によってひん剥かれていくのだった。


────


「あっ、らんら……待って、結構ダメ、腰痛い」
「知らないから」

 あ〜…これは明日腰やるルートだな、なんてまだ少し余裕のある頭で考える。ギラギラと獣のように光ったらんらんの目が若干怖い。油断してたらマジでがぶりと食べられてしまいそう。

「まりちゃん、今日は弱音吐いてもやめないからね」
「勘弁して欲しい」

 なんて軽口を叩けるのも今だけで。
 少し骨ばった手が下着ごとズボンを脱がせる。外気に晒されほんの少し生ぬるい風が足を撫でる、気持ち悪。

「綺麗な足してるよね」
「そりゃどーも」

 片手で足を持ち上げられ腿の内側にちうと軽く口をつけられる。
 ちらりと見ればついている赤い跡。……まあこれくらいなら見えないしいいか。ぼんやりとブラの上から胸を軽く揉む手を眺める。

「まりちゃん〜、外すから背中上げて?」
「嫌だよーん」
「じゃあ力ずくだね」

 痛いのは嫌だ、すぐさま起き上がり大人しくブラを外す。
 「外した」と言えば背中に抱きつくらんらん。何がしたいんだこの人は。

「背中も綺麗。まりちゃん全部綺麗だね」
「ハハッ、どうも」

こんな時、照れもせず乾いた笑いしか出ない自分はほんと可愛くなだろう。後ろから手を回しやわやわと胸を揉むらんらん。楽しそうでなにより
何を思ったのか項をべろりと舐められる

「ひっ、」
「あはは、反応可愛い」

 じとりと睨みつければ「ごめんごめん」と軽く謝られる。
 揉む手をやめず耳元で何度も可愛いだの好きだの甘い言葉を囁いてくるらんらん。だんだん反応が薄れてきて面白くなかったのかなんなのか、耳を食まれ前に逃げようとするけどらんらんの手によってそれは阻まれる。

「反応いいなぁ」
「今すぐやめてぇ」

 逃げたいけど逃げれない、そんな悲しいことあるだろうか。よほど反応を気に入ったのか耳を食まれながら胸をいじられるおかしな状態。
 そんな状況でも気持ちいのは確かで、口の端から漏れ出る甘い吐息は止まらない。

「きもちい?」
「しんな、っ…い、」

 ダメだ、らんらんのペースに完全に乗せられた。最初とはうって変わって余裕なんてものはなくなってきた。
口元に手を当て声を精一杯我慢する。

「我慢しなくてもいいよ?」
「ゃ、するで……しょ、ぁ…っう」

 調子乗ったらんらんの手は下まで降りてきてゆるりと何度か付近をなぞる。
なぞられるもどかしさがこそばゆく腰をよじる。

「ね、四つん這いになって?」
「えぇ……」

 そんなお願いを聞き入れてしまう自分が憎い。ベッドに腕と膝をつく。このカッコ恥ずかしくない?
 後ろではらんらんが膝立ちで何度か息子を扱いている様子で。これは、俗に言う…………バック…、なんて思った瞬間付近に宛てがわれる。

「ん、じゃあいれるね」
「待て、待って心の準備をだな……」
「弱音吐いてもやめないって言ったじゃん」

 ずぶりと狭い肉壁を広げるように侵入してくるらんらんのソレ。

「ちょ、まっ、!ぅ…あ…いっ…」
「ごめんね、もうちょっと我慢よろしく」

 ゆっくりと、だけど確実に入り込み圧迫感を与えられきゅうと締まる感覚に襲われる。
 ああダメだって、これ、結構恥ずかしい。

「ン、……はは、全部飲み込まれちゃった」
「っう……、いた…い、らんらん……許さない……」

 がっちりと腰のあたりを固定されているので逃げれないのなんの。
 私の呼吸が落ち着いてきた頃を見計らってゆっくりと前後に、打ち付けるように動き出すらんらん。
 最初こそは無理なんて思っていたけど、慣れればある程度は楽になって。

「あは、これでやるの獣みたい。交尾じゃん」
「…たしか、に」

 らんらん、獣みたいな目してたしピッタリだね。なんて言葉は飲み込んで。
 奥にコツコツあたる感じが変に気持ちいい、ダメだ、脳みそ溶けてるわ。ほんと、獣になったみたいにお互い夢中で腰振ってなにやってんだか。
 絶対これ明日腰死ぬ、なんて思いは全部快楽に飲み込まれていく。

「あっ、や、だめ、…っ、い……、!」
「一緒に、いこっか、?」

 らんらんの動きは早まって、チカチカと目の前が光ったと思えば同時にびゅるりとゴム越しに放たれる熱。
 もうクタクタ、へたりこめばぺちりと背中を叩かれる。

「まりちゃん、まだだよ?」

 ああ、もう勘弁してくれ…………。




next→