しゃあん
ザワザワとうるさい人混み、流石お祭りやな。
「あんず?いける?」
「っ、うん!なんとか…!」
綺麗にセットしていたはずの髪の毛がほんの少し崩れている。まあ、そんな中また人混みに突入する訳なんやけど。
くいっとシャツの裾を引かれて後ろを振り返ればはぐれないようにか必死に裾を掴んでいるあんず、……なんかええなこれ。
人混みを抜けほんの少し広い所に出る。俺、顔も背中も手も汗やばない?
「暑いね……」
「ほんまなぁ」
あはは、なんて笑いながらゆっくりと歩いていく。
不意に触れるあんずの手。少し、熱い。どうしようか、この手を取っても、許されるか?
考えてもしゃーないし、必死に後ろを着いてくる彼女の手を取り顔を見られないように前を向く。
「……はぐれんように、な?」
「…んふふ、シャオロンくん。ありがと」
ニヤニヤすんなよ!暑く火照る顔を夏と人混みのせいにしながら少し、あんずの手を握った。
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