ぐるもか



ふらりと地元のお祭りに来てみたのも良いけど、やっぱり人が多いと暑すぎる。

「あっつ…」

小さく呟けば横にいたグルッペンがちらりとこちらを見る。
見上げてみればふいっと視線を逸らす。恐らく見てるのはベビーカステラの屋台だろう。

「食べたいの?」
「……買ってくる。ここで待っとけ」

近くのベンチに座らされ、とことこと屋台に向かって歩いて行ったグルッペン。
ほんの数分もすれば帰ってきて袋いっぱいのベビーカステラを目の前でもぐもぐと食べ出す。

「ふふ、美味しい?」
「おう」

はた、と一度止まりカステラとにらめっこをするグルッペン。なんだか面白くて小さく吹き出してしまう。
唐突にすっと口元に差し出されたカステラ。

「くれるの?ありがとう」

取ろうと手を出すが「ん」なんて一言ともにさらに口元に近付けられる。
なんか、恥ずかしいな…そのままぱくりと食べてしまえばほんのりと甘さが口に広がる。

「…あっま」
「そうか?もうちょっと甘くてもええな」

また、カステラを自分の口へ放り込んだグルッペン。
……いや、まあそういう意味じゃないんだけどね。



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