01
「人が多いな。」
ベルナドットの引く荷物の詰まったカートの中でにゃおんとステラが返事をするように鳴いた。
騒がしい駅のプラットホームに彼女のご機嫌は斜めのようだ。
「じゃあ荷物を頼むよ。ステラ、行こう。」
ステラをカゴから出して抱え、ベルナドットに後はよろしくとだけ言って、汽車に乗り込む。幸いまだコメンパートは空いているらしく割と早い段階で空室を見つけることができた。
窓からそのを見れば親子がしばしの別れを惜しんでいる姿が彼方此方にある。縁遠い物だとわかっていても少し羨ましかった。
「あ、いたいた旦那。
全く、人の話はちゃんと聞くもんだぜ。」
いきなりコメンパートのドアを開け放って入ってきたベルナドットに私は驚く。
「どうしたんだ、ベルナドット。」
「荷物積んでる間にシレッと乗り込まんでくださいよ。ほらこれ言ってた俺からの贈りもん。コルト・ディテクティブスペシャル、威力は弱いがまぁ、お守りだ。
肌身離さず持っといてくれよ。」
「あ、あぁ、ありがとう。」
箱にはいつでも持っていられるようにとショルダーホルスターと小型の銃が入っていた。ご丁寧に銃弾の変えもきっちり入っている。
「セス、無理すんなよ。俺ァいつでもお前の味方だ。」
「あぁ、あぁ。勿論だ。有難う友よ。行ってくる。」
列車がゆっくりと動き始めた頃、控えめにまたコメンパートのドアがノックされた。小窓からは見覚えのある顔がのぞいている。
「ディゴリーくんじゃないか。どうぞ、入ってくれ。」
「セス、僕、君のこと探してたんだ。ほらこの前は失礼な別れ方をしてしまったから。」
気まずそうに席に着いたディゴリーはそう後ろめたそうに言葉を発した。どうやら、まだあの時のことを気にしているらしい。
「前に父さんに聞いたことがあって、ノーザンバランド家の当主は僕より年下だって。それであの時驚いてしまって。ごめんよあんな反応をする気は無かったんだ。」
「なに、僕は慣れている。わざわざここまで言いにくる奴の方が珍しい。
気にすることはないさ、我が家はそういう♂ニだ。戸惑いは甘んじて受けよう。それが侮辱にならない限り僕は寛容だ。」
そう、誇りを汚されない限り別にどうってことはない。汚されたとしても其れ相応の報いを受けてもらうだけ。正直に私にとってどうでもいいとすら言えた。
「君は変わってるね。」
「僕にそれを面と向かって言う君こそ変わっているよ。」
「そうかな?僕はセドリック・ディゴリー」
「?知っているが?」
「君と友達になたい男だよ。」