Home > Text > Book > List > Page それは神の技が現れるための 掃き溜めの様な街にて 01 [1/4] ディオは、母の正しくあるための教えが嫌いだった。やれ喧嘩はするな、暴力を振るうな。困っている人がいれば助けなさい。 それらの言葉をディオが本気で聞き入れることはなかったが、もし聞き入れていればあの街では生きていけなかったと断言できる。 母の理想が通るほど暖かい街でも、生易しい街ではなかったからだ。 それでも1つだけ、1つだけ1つ返事で聞いていたものがある。 もちろん、母の言うような正しい事としてでは無いけれど。 「ディオ、ウォードさんが今日もマリィちゃんを見ていて欲しいそうなんだけれどお願いできるかしら?」 「わかったよ母さん。」 週に数回の小遣い稼ぎのようなものだった。ウォードさんとは少し街を出たところにある家でここら辺の家に比べれば比較的裕福な家だ。 そこの娘の面倒を見る代わりに、お駄賃程度のお金をもらう。そう言う仕事だ。それだけでは割に合わない仕事だが、その娘がディオにとってはいいカモだった。 病弱で外に出ることの無い青白い肌に色素の薄いプラチナブロンドの髪。病的な娘のアメジストの瞳。しかしその瞳には光はなく、世界を映すこともしていなかった。 目が見えない哀れな少女のお守役。 誰もいない家で何もできない子羊と二人。ディオにとってやりたい放題の楽な仕事だったのだ。 しかも、盲目のその娘は酷く純粋で愚かしく僕の言葉はなんでも信じた。 「あら、ディオくんいつもありがとう。マリィは部屋にいるから今日もよろしくね。」 「はい、ウォードおばさん。」 いつもの様にウォードおばさんに愛想よく声をかけて、ディオは、二階の奥の部屋へと足を運ぶ。 握らされた金をポケットに突っ込み、いつもの様に優しい声で扉をあけた。 「やぁ、マリィ今日もよろしくね」 「ディオ……?来てくれたのね!たのしみにしてたの!今日はこの本を読んで欲しいのだけれど……」 ベットに座ったままこちらに体を向けたマリィは、て探る様にそばに置いてある本を差し出してくる。いつもそうだ。見えないことをいい事にそこでいつもディオは顔を顰める。 「構わないよ、今日はなんの本だい?」 「Alice in Wonderland…!」 そう言って新しく買ってもらったらしい本を嬉しそうに見せてくる。 いつもいつも、金がある家は金の使い方が違うらしい。目の見えない娘の欲しがるままに本を与えるなんて無駄にもほどがある。 もちろんそんな事を言うわけもなく、彼女の隣に座り、静かに馬鹿げたその物語をディオは読み始めた。 [前へ][次へ] 2/16ページ [Back] [Home] |