Prolog

それは、瞬きのような時間だった。
永遠に続くかのように錯覚してしまう刹那。


其処には、傷だらけで今にも事切れそうな男の頭を膝にのせて優しく男の頭を撫ぜる女の姿があった。


「男の人って馬鹿ね、本当に馬鹿すぎて呆れちゃうわ」

「勝手に自己完結して勝手に死んじゃおうとするし、残される女がどんな風に想っているのかも知らんぷり。本当に最低、末代まで呪ってやりたいくらいよ」

「だから、晋介……ううん、晋ちゃん」


ーーー私、待つのは得意よ。ずっと待ってたもの。

でも、今度は早く迎えに来てね。


穏やかに眠った男に口付けを落とした女は、男が好きだと言ってくれた笑みを浮かべながら涙を流した。

そんな2人の最後の逢瀬を紅い瞳を持ったかつて白夜叉と呼ばれた男だけが静かに見つめていた。



ーーー男と女の始まりは、20年ほど前に遡る。



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