じじいの常識の無さが露呈する話(中)





カポーン

なんて効果音が似合うのではないかというくらいに
湯船に浸かってリラックスしていた。



鼻歌を歌いながら浴槽の縁に乗せた腕に
顎を乗せてくたっとしていると、


ふと、磨硝子の向こうに人影が射した気がした。




よくよく見れば青いその影。




「……もしや」



まさかと思ってジッと見ていると、
扉の向こうから私を呼ぶじじいの声がしたので
そのまさかだと確信した。


「……何、三日月」


扉一枚隔てているから、まあいっか。
と考えて、私は気を緩めていた。




「千紗。閨に関してだが……」




ガチャッ、ともつかない水気を含んだ音を立てて
お風呂場のドアが開いた。




もう一度言う。ドアが開いた。

正確に言えば、じじいがドアを開けた。





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