アメリカにて


「__He is the real culprit.」
(__彼が真犯人です)



アメリカ、ニューヨーク。

警察組織の建物の中、最近捕まった連続殺人事件の容疑者と輪は
向かい合っていた。もちろんガラス越しである。側に控えている
見慣れた法執行官、マシューにそう告げると、ふらりと席を立った。
よろけた体を受け止めてくれた彼に礼を言いつつも、顔色の悪さは
治らない。それは疲れとは明らかに違っていた。


「He always used the hatchet and enjoy to crash their skulls
or brains... Ah, sorry Mathew, I feel dizzy.」
(彼、いつも鉈で頭蓋骨や脳を潰すのを楽しんで……
ごめん、ちょっと目眩がする)

「Are you all right, Rinn? You look pale. You still not get
used to read how to kill. It made you feel a bit sick, right?」
(大丈夫か?顔色が悪いぞ。やっぱり殺した方法を読み取るのは
慣れないよな。しんどいんだろ?)

「Yeah, but this is my last work in US. I'll go back to Japan
the day after tomorrow.」
(まあね。でもこれがアメリカでの最後の仕事だから。明後日に
日本へ帰るの)


輪のその言葉にマシューは少し驚いた顔をしたが、その表情は
すぐに寂しそうに変わった。2年間ほぼ毎度顔を合わせていた人間が
いなくなるというのはやはり悲しいらしい。


「I haven't heard the news... Well, I'll call Mia to hold
a good-bye party. You, Mia and I.」
(そんな話聞いてないぞ……。じゃあミアを呼んでさよなら
パーティーをしよう! 輪と、ミアと、そんで俺だ)


しかしすぐに立ち直ったマシューは輪の親友であるミアを
呼んで明日の夜に3人で食事をしようと言った。彼の言った
『さよならパーティー』である。じゃあイタリアンで、と言った
輪にマシューはアメリカなのにか?と笑うと携帯を出して
すぐに自分が知っている中で一番の店を予約したのだった。







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