流れてくるツイートや、個性的で魅力的なキャラクター達に惹かれ、「愛した人を殺しますか? ──はい/いいえ」第1巻を拝読致しました。
稚拙ではありますが、感想をしたためましたので、ご都合のつく時にでも目を通して頂けたら幸甚であります。
さて、これから思いを綴り、私見を述べていく訳でありますが、まず先に謝罪致します。
サイトの上部に設定等がまとめられていましたが、申し訳ありません、すっ飛ばしてしまいました……。
理解の助けにと置かれていたものと愚考しますが、個人的なスタンスとして、まず本編を読んでから、より深い理解を得るためにその手のものを利用する、というものがありまして……。
前置きが長くなってしまいました。
御託はここまでに致しまして、すぱっと感想の方に移りたいと思います。
この作品を一言で表すならば、物凄く完成度の高いハイファンタジー。
幼少の折に、ドギツイ表紙に惹かれて読んだ「デルトラクエスト」を彷彿とさせます。
一次創作者に「〇〇に似ている」というのは禁句だとどこかで耳にしましたが、禁句だとわかってもなお言いたかった。
文庫本を制覇し漫画も読みアニメも嗜みゲームもプレイした、あのお気に入りのデルトラクエストで味わった感動。それと同じものを、いま再び味わえているのかと思うと、柄にもなく神というものに感謝してみたくなります。
最初にツイートでタイトルを拝見し、「愛した人を殺しますか?」という物騒な文言に軽い抵抗を覚えましたが、いま思うとあれは、図書館の中で異質感を放っていた、あの表紙に通ずるものがあったのかもしれません。
設定に凝り、素晴らしい世界を作り上げる人は、たくさんいると思います。
この作品に限らず、素敵な作品、完成度の高い作品はこの世に数多とあるでしょう。
けれどそれは、世界を創造しているだけに過ぎないと思うのです。
これは、創造者であって創作者ではない、という私の持論のようなものなので、気になくても大丈夫です。
少し話が脱線してしまいましたね。速やかに戻しましょう。
私がこの作品にグッと引き込まれたのは、プロローグの嵐のシーン、そしてガーネット号とオパール号の移乗戦のシーンです。
とにかくリアルでした。これに尽きます。
ここでいうリアルとは、現実に忠実という意味ではありません。
「小説の文章は必要以外のことを書いてはならない。それは無用を通りこして小説を殺してしまうからである。そして、必要の事柄のみを選定するところに小説の文章の第一の鍵がある」
とは坂口安吾の言(※「意慾的創作文章の形式と方法」より引用・抜粋)ですが、これにズバリ当てはまっているのです。
本当に伝えたいところだけを描写していらっしゃる。
少なくとも描写においては、無駄な個所がないから、するすると情景が浮かび上がってくるのです。
殊に驚かされたのは、海賊船の船長、ラムズの描写のシーン。
「“王子様”の名前に相応しく、ラムズは他船の船長よりも大分若く見える。歳は20前後。髭はなく、海賊にしては清潔感のある見た目だ。」(※第二話「移乗戦 前編」より引用・抜粋)
髭はなく、と、髭の有無を優先的に描写していて、「この作者、ガチだ」とつい思ってしまいました。
何故そう思ったのかは主題と外れますので割愛しますが、ここで、作者様のこの作品への本気度や情熱が伝わってきました。
「髭はなく」のたった四文字で、海賊とはどういうものか、スパッと簡潔に表していて、感銘の溜息すら出ましたね。
リアルさの話として、もう一つ。
貿易船を強襲して(いや厳密には襲ってはいませんが)酒池肉林の宴となったシーン。
他の船員たちと同じく、ラム酒をあおり、船上ではまずありつけない生肉(を焼いたもの)を噛みしめ、一言。
「色彩ってこんなに豊かだったんだ」
長い間船上生活をしていたことを的確に表している一言で、言外にガーネット号の赤と船体の茶と、海や空の青しか見れなかったこと、本当はそれ以外の色も渇望していたこと、様々な情報が分かります。
上の方の話とはまたちょっと方向性の違う、説明的ではないリアルさ、といった感じですかね。
次に、無人島の話について、演出的な話を一つと、物語の感想を一つ、
これまた長々と語ってしまうと思います。ご容赦ください。
演出的な話について。
後から振り返って、ここほんと演出が上手だなあ、と思ってしまいました。
それというのも、島の探索が優先で、戦闘の描写はほとんど無いということ。
普通(普遍的な展開という意味です)は、見たこともない強敵と出くわし、苦戦し、激闘のうえで勝利をもぎ取る、というのが定石ですが、この作品ではほぼラムズの無双状態でした。
これの何が良いかと言うと、面倒な戦闘を省略でき、かつ、島の探索の描写をスムーズにできるところです。
前話で、シャーク海賊団が総出を上げて、クラーケンと激戦を繰り広げているので、それよりも格下の魔物を、(少なくとも同じ巻の中で)あまり凝った戦闘描写をする必要がない、という起承転結を意識されたのか、探索と戦闘どちらに重きを置くべきかという取捨選択の上で生まれた演出かは推察しかねますが、お陰で話にのめり込むことが出来ました。
物語の感想について。
無人島編に関わらず、この物語全体に言えることですが、人間賛美をしている訳でも、人間を愚劣なものとして見ているわけでもない、あくまで「使族」の一つ、として捉えているところに、とても魅力を感じました。
人間もそうですけど、人魚も、ルテミスも、殊人(シューマ)も、使族間でのいざこざや好き嫌いはあれど、神として(=作者として)、全体的な俯瞰者として、決定的な優劣をつけることは決してありません。
ラムズの使族(そもそも彼は、使族というカテゴリに収まっているのか、甚だ疑問ではありますが)はまだ分かりませんが、彼もまたそうなのかなと。
具体的に例を挙げると、「なんで関係ない俺たちまで巻き込まれなきゃいけないんだ?」のシーンですね。
ただ俯瞰して、人間の矛盾性を的確についてると思いました。
それと同時に、このシーンの渦中にある、ラムズ、メアリ、ジウ、ニーチェ、グレンらは、人間の在り方について、肯定も否定もしてないんですよね。
「大変そうね」とか「どうしてそうなんだろう」とか思ったり言ったりはするものの、だから良いんだ!とかだから悪いんだ!っていう話を全然していません。
無事ガーネット号に戻ったとき、「人魚は殺せ!」「人魚なんて!」と、人間がメアリを明確に憎悪し、否定するシーンは、まさに対極的だなあと思いました。
あれ? いや否定はしていませんね。
けど「人魚のくせに人間の真似をするな!」っていうのは、人魚のことを人間よりも下だと思ってないとまず出ないセリフですよね。
言うなれば、否定的というより、差別的でしょうか。
このシーンを、私は「人間って醜いなあ」と思いましたが、盛大なブーメランですね、これね。
鏡を見ている気分でした。
と、ここまで褒めに褒めて褒めちぎっている訳ですが、少し違和感を覚えたところがありますので、最後に、僭越ながら述べさせて頂きます。
クラーケンと戦う少しの前の話に、ランクの話が出てきましたよね?
スライムが一番弱くて、ウロボロスが強い、みたいなくだりです。
後の話を読むと、討伐難易度的に(作品として便宜的に)ランク付けしているだけだと分かりますが、このとき、今まで冒険小説を読んでいたのに、いきなりゲームの話になったのかと唐突感がありました。
(だから修正しろという話ではないので、お気になさらず)
随分と長くなってしまいました。
おまけに拙い文章で、相当読みにくかったと思います。
これから第2巻を読ませて頂くのですが、その感想の折には、もう少し簡潔で分かりやすい文章を心がけていきます。
◇◇◇
「愛した人を殺しますか? ──はい/いいえ」第2巻を拝読させて頂きました。
第1巻から引き続き、感想をしたためましたので、ご都合のつく時にでも目を通して頂けたら幸甚であります。
それでは、ご挨拶もそこそこに、感想に移らせて頂きます。
まず、この巻の象徴というべき人物が登場しました。
レオンという人物(漢字表記がありますが、カタカナの方が分かりやすいので、便宜的にそうさせて頂きます)が異世界転移してきましたね。
この出来事に対し、唐突感はあったものの、不快感はなかったです。
この世界の神様なら気まぐれならやりそうだな、と苦笑しながら受け入れられました。
それと、神様との会話シーンが無いのもとても良かったです。
ああいう異世界転移の様式美って、あくまで茶番として貫くならある程度の面白さが出てきますが、ファンタジーとして大真面目にやられると、笑っていいのかどうしていいのかわからなくなりますからね。
さて、異世界に来たため右も左も分からないレオンですが、そのレオンという異物を、こちら側の世界の人も理解出来ない、のはリアルでした。
具体例をあげると、転移を理解できていないラムズですね。
彼にも分からないことはあるんだ、と何故か安堵してしまいました。
ちょっとずれて、メタ的な話になってしまいますが、物語の構成として、レオンという部外者を入れることで、説明をより分かりやすくしてくれているのがいいですね。
第1巻の時点である程度、メアリが最初に内側の人間として説明してくれましたが、それを一旦リセットして、外側からレオンが、「説明を受ける」という形で、「読者に説明」するのがスムーズで、理解が捗りました。
どこまでが原作にあったことなのかは承知しかねますが、切欠を作って要所要所で説明してくれるのは、大変助かります。
内容を本編27話に戻しましょう。メアリが浴槽の中で気づくシーンです。
なぜかとても胸が痛くなりました。
正直、鱗と聞いてもピンとこないし、そもそも彼女は物語の中の人物(いえ、全然関わることのない、違う世界の人物)なのに。
メアリにとって、あれほど美しかった鱗が、減ったり、変色してしまったりするのは、とてつもない艱難辛苦、耐え難い苦痛だったろうと思います。
顔に硫酸ぶっかけられるのはまた少し違う、人魚としての、種としての誇りをずたずたに傷付けられて(ただでさえ人魚は高潔な使族なのに)、よく耐え忍んだなあと思わず称揚してしまいました。
既に人魚の尾が人間の足になってしまって、そのうえ自分でも気に入っていた鱗がこんなことになって、(ラムズがユニコーンと比べて鱗を褒めてくれたシーン参照)喪失感が半端ないだろうに……。
つくづく、強い女の子だと思います。
「ラムズひどいの! ヴァニも連れてって!」
「お前は金がかかる」
「ラムズに言われたくないの!」(28話「ヴァンピール」より引用・抜粋)
ここのくだり、とても笑わせて頂きました。盛大な「おまいう」ですね。
圧倒的にお金がかかりそうなのは宝石でしょうけど、彼女は随分な酒豪、ザルを超えてワクらしいですし、これもこれでお金かかりそうです……。
いつでもカモ──いいえ、積み荷を満載した貿易船に出会えるとは限りませんし。
トルティガーの路上にて、「どうして殺したんだ?」のくだり。
「君の世界と同じだけの優しさを、ここで求めちゃいけないよ」
このセリフがお気に入りです。
エディ、軟派野郎とか思っちゃってごめん!笑
異質なものが怖いんだ、という話にはとても納得できました。
それと、弱いから排他的になる(と、私は解釈しました)というのも。
例えば、人間が人魚を嫌う、というけれど、船が難破するのは人魚のせい、という噂を強く信じているだけでは、ここまで憎悪を増長しないと思うんです。
エディやメアリの言うように、人間は弱いから、ルテミスを遠ざけ、そして、「何か自分の力を誇示できる、更に弱いもの=人魚」に、寄ってたかって襲ったりしているのではないだろうか、と持論を練ったりなどもしました。
(ラムズか誰かが言ってましたが、人魚は陸の上では無力で、人間三人で襲えば勝ち目はないらしいですし)
正義とはなんたるか。
人を殺すのは悪なのか、あるいは人を殺すのをやめろというのが悪なのか。
古来より色々な人間が考えてきた「正義と悪」という概念について、この作品なりの一つの解釈を垣間見られて、とても嬉しかったです。
レオンは「人間の中にも良い人がいる」と言っていますが、彼はとても恵まれた環境下にいます。
本人が気付いているか否かは分かりかねますが。
殺人や強盗が日常的でなく、高度な文明により快適で文化的な生活を謳歌し、絶対的な法と規が敷かれた「箱庭」。
そして、その箱庭からついぞ出ることのなかった彼が、いきなり「生き残ることが全て」な世界に放り込まれて、何もかもが逆さまな世界で、「自分のところではこうだったのに!」と必死に訴え様には、同情はしますが理解はできなかったですね。
レオンが「酷い」と感じているそれらは、彼の素晴らしい日常の中に見え隠れしていた問題が顕在化しただけだと思うのです。
それを否定するのは、問題を直視していなかった無知を、露呈するだけではないでしょうか。
とはいえ、私も同じ穴の狢なので、それを非難する権利はないのでしょうけど。
長くなりましたが、30話・31話「常識のない世界」を通して、「常識とは基本的に、偏見である」ことを再確認することが出来ました。
ラムズとレオンの会話シーン。
「変われない」という争点、そして人間と使族の比較が目立ちました。
(この世界では人間も使族の一部なんですが、レオンの世界での人間という意味です)
散々現実というものを突き付けられて、残酷な世界に迷い込んで、しかもチート能力もなしに放り込まれて、レオンはどうするかと思っていたら、「変わっていて」本当に驚きました。
ラムズも、その臨機応変というか、いざという時には変われるというか、その柔軟性? メアリは襲うものを殺すことで身を守っていたけど、変わるというのもまた身を守る手段であると気付いた……のかもしれません。
それも含めて、「羨ましい」と発言したのなら……。
余計彼の使族が気になりますね!
メアリさんや、たぶん彼ヴァンピールじゃないと思いますよ!
メアリといえば、その前の話で、レオンは彼女に「全部受け入れようと思う」と言っていたけれど、そう言えるだけの覚悟と決意は、素直に称賛できるものですね。
トルティガーでエディに食って掛かっていたレオンが、ガーネット号でノアに「まぁそれぞれの正義があるもんな。この人たちにとってはそれが生き方なんだし」と言えるようになったのは、本当に凄い成長だと思います。
上の方でレオンのことを、遠回しに世間知らずと揶揄ったけれど、もし、いざ自分がレオンと同じ状況下に立たされた時、果たして私は彼と同じセリフをノアに言えるのか。
恐らく困難であっただろうと思います。
というか、そもそも移乗戦のとき、足が滑って海へ転落していたかも。
ガーネット号が一方的に有利な状況で、ワンサイド・ゲームだったとはいえ、レオンがあの戦いを生き残った、それだけで評価に値するのかもしれません。
「……ううっ。この服、丈が短いから少しスースーするわ。膝上までの長さしかない。青が基調のチュニック(ワンピースと少し似ているかな)だ。
胸元はV字に開いていて、真ん中に金色のボタンがある。紺色の長い靴下をガーターベルトで止めて、その上から長ブーツを履く。」(38話「絶滅」より引用・抜粋)
ガーターだとっ!?!?(ガタッ)
ハイマー王国のアゴールに停泊、というセリフを見て。
あれ、そういえばこの船なんのために移動しているんだっけ?とつい記憶を手繰ってしまいました。
そうそう、メアリの鱗を治すためですよね。オパールのように綺麗だった鱗に。
鱗が変化・変色したことに心を痛めていたはずなのに、ちょっと時間が経つと忘れてしまいます。
人間ってほんと薄情なものですね。
この世界の使族としての人間のことも、レオンの世界にいた人間のことも、悪く言えません。
「クラーケンが死んでいた」
えっ、確か殺してはいけなかったのでは?
なるほど、これは無人島編と同じ、異変の予感! 次巻に期待ですね!
長々と取り留めのない感想と相成りましたが、総括と致しましょう。
全体的にこの巻は、「繋ぎの章」という印象ですね。
前巻が、冒頭から嵐のシーンだったり(嵐ってなんかわくわくしませんか?)、海賊船同士の戦いがあったり、クラーケンという怪物(いや使族なんですけれども、どうしても怪物としての印象が強いです)に苦戦を強いられたり、
無人島を探索してニンフに惑わされたり、脱落者が出たり、最後に衝撃の事実が明かされて、逃走劇を繰り広げたり、割と動きのあるようなところばかりだったんですけど、
この巻は説明が多かったり(批判的な意図は含んでませんよ!)、異世界転移者であるレオンが苦悩したり葛藤したり、個性豊かな登場人物が出揃ったり、静的なイメージが強く残りました。
ですが、なんだか、「舞台は整った」的な感じがして、次巻への期待がもの凄くありますね。一通り、序盤にやることはやったぞ、さあ次へ、みたいな。
RPGで、チュートリアルをこなして、弱いザコモンスターを狩ってレベリングして、町で武器や防具を整えて、みたいな段階だと思います。
まだ第一のダンジョンすらクリアしていない感じですね。
あとところどころで出てくる魔法最高ですね! 1巻の時も思っていましたが、書き損ねたのでここでまとめて伝えさせて頂きます。
まだこの世界の魔法の仕組みの全容は掴めておりませんが、理解は出来なくても雰囲気で楽しめています。ありがとうございます。
第1巻の感想にて、次巻以降の感想の際は気を付けると言っておきながら、一巻以上の長文駄文となってしまいました。申し訳ありません。
それでは、段々とあいころの文体の影響(主にカッコの使い方)を受け始めてきたなあと自覚したところで、この度の感想を締めくくらせて頂きます。
最後に、出過ぎた真似とは存じておりますが、誤字の報告をさせて頂きます。
23話「海賊島」より、「ラムスのあまりの言葉足らずに、ジウは思わず口を挟む」。
普通の熟語の誤字は気にしないのですが(私も常習犯ですし)、これは固有名詞なので、恐れながら指摘させて頂きました。
◇◇◇
あいころ感想#3
初っ端からいきなり下ネタっていうのもあれですが、子供の作り方の話から。
あらすじに、3巻から恋愛色強めと書いてあったので、ここは覚えておくべきシーンかな、とまず思いました。確かに、甘い雰囲気が端々にありましたしね。
人魚の子供の作り方は、「鱗を交換し、その後、海底にある大真珠貝という貝殻に二人でキスをする」メモメモ。
なんだか、こう言ってはメアリに怒られてしまうかもしれませんが、植物は雄しべと雌しべが受粉することで種子を作ります、っていう理科の授業みたいで、不思議な感覚ですねえ。
こういうところがあいころの面白さだと思います。
人間に近い見た目ではあるけど、厳密には人間じゃないんだな、っていうのが芯から分かるというか。
次の話題は、ロゼリィとラムズの会話について。前話の、子供っぽーい会話から(いやリューキは違うけども!)から一転、オトナの話へ。
前巻の「正義と悪」の話では、物知り顔で私見を述べてしまいましたが、愛と恋の話は門外漢なので、詳しい言及は避けます。
見当違いなことを書いて、後から恥をかくのは嫌ですからね。
ぼんやりと思ったのは、ロゼリィもロゼリィで、レオンが夢見ているような清廉潔白な聖女ではなく、なかなかの個性的な人だなあと。
いえ、違いますね。文字通り、清廉潔白な聖女だと思います。
いつぞやでしたか、レオンがロゼリィのことを、お人形みたいだと形容しましたが、まさしく的確な表現で、人間のような心が無い使族なのかもしれません。
「愛とは受け入れること」と彼女は言いますが、その、受け入れるということが出来ない使族なのか、と思い至りました。
愛について、自分なりの結論を出していながらも、自分自身がそのように実行することのできない苦悩と葛藤があるのなら、それらを自覚して懊悩しているのなら、ロゼリィはとても魅力的な人、と考えを巡らせたりなどもしました。
「自分を磨くことも相手の変化を求めることも、既に“ありのまま”ではなくなっています。私の思う愛は“ありのままである”こと。ですから、恋は愛ではないのです。歪んだ愛なのです」
高潔すぎて、清廉すぎて、逆に恐怖と不気味さを感じました。
本心からそう思っているのなら、狂気の沙汰としか思えません。
私が愛というものに疎いだけなのかもしれませんが、そんな高すぎる理想を超えられる使族が、はたしてこの世界にどれだけいることでしょう。
ラムズが、己を変われない使族と自虐気味?に言っていましたが、そこと通ずるところがあるのかもしれません。
ロゼリィの持論は、成長しない使族にのみ通用する意見であって、例えば人間などの、朱に交われば赤くなるような使族(良い意味でも悪い意味でも)には、彼女の言う「愛」は、恐らく一生かかっても育めないでしょう。
レオンの恋愛相談のシーン。
恋愛相談と呼称するには若干違和感が拭えないところがありますが、言葉の定義からいちいちやっていたら、ただでさえ長い感想が冗長化して、目を通しているうちに日が暮れてしまいますので、この際多少の言葉の選択ミスには目を瞑っていただけると助かります。
簡潔に言ってしまうと、レオンの言い分に賛成ですね。
「好きでもない相手を恋に落とす」のは、外道極まりないかと。
人間だったら一発でクズ認定です。
例えば、金銭を搾取するために、とかだったらまだ分かります。
性欲を発散させるため、とかでも構いません。
納得は出来ないけれど、明確な理由がある限り、例え悪だと思っても、糾弾することはしません。
所詮他人事ですからね。
ですが、何の理由もなく、また本人もその理由に気付いていないのに、戯れに恋をさせるのは、なんかこう、何かが違うんじゃないかなあと(※個人の感想です)。
ラムズの「恋に落とす相手」、恐らくはメアリだと愚考していますが、もしレオンが「どこにいるかも分からない、会ったこともない相手」だと思っていたのに、メアリだと知ったときの彼の罪悪感を考えると、このときばかりはラムズを非難の目で見てしまいますね……。
女の子が可哀相だから、とかじゃないんですよ。
別に、もしラムズがメアリを傷つけて泣かしたとしても、短絡的に「ラムズひどい!」と感情的にならないと思います。
当事者じゃないですからね。
同じ第三者としての立場を共有しているためか、このシーンを、レオンが罪悪感を抱くようなことにはならないで欲しいなあ、という思いで読んでいました。
とか思っていたら、ラムズの使族がレオンに伝わるシーン!
ドキドキしながら「」内をドラッグするも、やっぱりというか空白のまま……。
ですよね、そりゃそうですよね! 若干分かってはいました!
話を戻しましょう。
なんでしょう、この、ロボットに命令を入力しているかのような、一方的な会話は。
恐らくは真剣に耳を傾けているためか、そうであると信じたいですけども、なんだかこのシーンのラムズ、やけに機械的だなあと感じました。
極端な例だとは思いますが、例えば、人を殺すことがまだ善か悪か知らない子供に、こうやってやると人間っていうのは死ぬのよ、と教える感じというか。
レオンは知らず知らず、「その子」のことを気遣って言葉を選んでいるけど、ラムズは「言葉を選んでいる」ことすらわかってないかもしれないし……。
最後に「善処する」とは言ったけれど、レオンが言ったのは一般論というか、多少この世界に慣れてきたとはいえ、まだ人間の価値観で喋っていることなんですよね。
彼がそれに気付いているか否かは別として。
ラムズが本当に理解できているかとか本当に怪しい……。
いえ、聡明な彼のことですから、理解はしていると思うんです。少なくとも知識として。
けれど、形容し難い不安が渦巻いています。
大丈夫ですかこれ……。今からメアリの貞操が心配です……。
45話「高潔な涙」にて、タイトル回収!
あらすじに書いてあったから強い衝撃は無かったですが、でも本文中にこうして明言されるとぞくぞくしますね。
そして、ラムズに打ち明けたことで、着々と物語の歯車が噛み合い始めたような気がします。
今まで、「サフィアという男を探している」という情報しか、周りの人はなかったわけですからね。
「ラムズと寝た」のくだり。
これ、きちんと懇切丁寧に話しても分からないのに、レオンが羞恥心で説明を端折ってるせいで、全然伝わっていないパターンですね。
後でラムズがメアリに説明し直してますが、レオンよりもラムズの説明の方が分かりやすいのは、羞恥心というのもあるでしょうけど、無意識的な部分を説明していないからかな?と思います。
前も言いましたが、常識とは基本的に偏見、これが本当に骨身に沁みます……。
そして、見事に舌先三寸で丸め込まれていますね、メアリ。
いやほんと、大丈夫なんでしょうか。
まあ確かに、レオンが説教したのは、人間の倫理観価値観によって立つものだから、元々人魚であるメアリがそれに従う道理はないんですけど。
ラムズ、言っていることは正しいんですよ、嘘も言ってない。だからこそ歯痒いです……。
手遅れになる前に、人間の性行為や性欲の仕組みを知れて良かったという安堵と、それを教えてくれたのはメアリを狙っているかもしれない「男」だという不安が混ざり合って、なんともいえない複雑な感情が悶々としています。
無知に付け込んで騙すような男ではないんでしょうけど(まずメアリのことを宝石と言っているし)。
ミティリイルが登場しました!
隙あらば自分語りで申し訳ないですが、描かせて頂いた子がこうして登場すると、何やら無性に嬉しくなりますね。愛着すら湧いてきます。
ですが、一度描いただけで何もかも理解した気でいてはダメですよね。
何やら喋り方がぬらりくらりとしていて、雲を掴むような感じですし、これはもしかしたら「理解しようとすること」自体が間違いなのかも、という錯覚すら起きてきます。
そして急展開!
ルテミスを奴隷商人に売り払って、という情報を皆して信じ込んで、更には激昂していて、最初は受け入れられませんでした。
何事!?と、この瞬間だけはラムズと同じ心境にあったのかもしれません。
後でメアリやアイロスさんが言っていますが、ラムズは合理主義者(だと思います)なので、安易に短期的な儲けの為、船員を売り払おうとはしないと思うんですよ。
仲間、とまでは思っていないかもしれませんが、事実、大事な人的資源ですからね。
当事者のルテミスはともかくとして、他の皆まで我を忘れて激昂しているのは、誰かの策略が絡んでいるのかなと邪推していたら、まさかのルド。
振り返ってみれば、オパール号から移ってきたときや、メアリにルテミスだと錯覚させたとき、なんとなく怪しかったですもんね。
伏線かなあとは思ってはいましたが、まさかここで絡んできて、そしてガーネット号離散の危機を引き起こすとは……。
故意であれば右ストレートでぶっ飛ばしたいですし、何者かに操られているのなら左フックをかましたいですし、スワト一味の仲間で、ここまでが全て計算通りだと言うのなら、思いっきり助走をつけてぶん殴りたいですね。
ただただ茫然としています。ロゼリィも、レオンも、ノアも、アイロスも、ジウも、手のひらを返したようにあっさり去って行って……。
何となく一線を引いていたロゼリィとノア、価値観の違いからラムズに反駁していたレオンはともかく、まずジウがガーネット号を去っていったという現状を、まだ呑み込めていません。
第1巻の序盤の方からなんとなく一緒で、幾度となく助けになってくれて、そりゃ拷問狂いなところはあるけれど、頼りになる仲間だと、漠然と思っていたのに。
やるせない気持ちでいっぱいです。
「踏み込みすぎていたのかもしれない。仲良くなり過ぎていたのかも。それが悪いことなのかいいことなのかは分からないけど。」
このメアリの独白に、千切れんばかりに首を振って共感しました。
仲間だと思っていたのは自分だけで、という寂寥感は、私自身何度も経験があります。
メアリはラムズを薄情と言っていましたが、感情に引きずられず冷静でいられるラムズを羨ましく思います。
色んな感情が綯い交ぜになっていましたが、「どのみち海路は使えないから陸路でいくしかない、そうなると船員は必要ない」というような一文を見たとき、なんて都合のいいように出来てるんだろう!と思いました。
いえ、批判的な意味ではありません。悲しむ隙を与えさせないというか、「神様がいる」ということが肌で分かるシーンでした。
第1巻冒頭で、メアリに「神様って信じる?」と問いかけられましたが、信じざるを得ない状況になってきているというか。
「メアリ、俺のことを好きになって」
「嘘の塊より、本物の真実より、真実と虚構の混ざった鏡が一番本当らしく見えるってな」
ラムズの真意が読めないです。何がしたいのでしょう……。
恐らく、彼のスタンスは、ずっと変わっていないと思います。
メアリを特別扱いするのも、別にいま始まったことではなく、最初のオパール号とガーネット号の移乗戦の時からですし。
けれど、ラムズの思考は何一つ変わっていないとしても、取り巻く環境が変わったせいで、疑心暗鬼になってしまっているのだと思います。
ジョーカーの存在、匂わされているスワト会という裏組織、そして仲間たちの離脱、これらが重なって、言葉の真意が正常に汲み取れなくなっているのかも。
いえ、まあ、いつもラムズの言葉を正確に把握できている訳ではないんですけれども。
というか分からないことだらけなんですけれど。
最後に、ざっと総括をさせて頂きます。
この巻では、メアリたちの見えないところで、何かがひとひとと忍び寄ってきている、そんな印象を受けました。
見えなかったもの、あるいは、見え隠れしていたものが、一気に浮かび上がってきた、という感じ。
導火線の長かった爆弾が爆発して、さあこれからどうする?みたいな……。
最後と言いましたが、もう一つだけ。
地図が本当にありがたいです!というか本格的ですね!?
パーンの島……は、どこの海域にあるのか分からず神出鬼没という話だったからいいとして、海賊島はどこにあるんでしょう? ここにないということは、もう出てこないということでしょうか??
◇◇◇
「愛した人を殺しますか? ──はい/いいえ」第4巻を拝読させて頂きました。
第1巻から引き続き、感想をしたためましたので、ご都合のつく時にでも目を通して頂けたら幸甚であります。
それでは、ご挨拶もそこそこに、感想に移らせて頂きます。
「俺はいくら誰かを好きになったからって、聖人君子を気取るつもりはない。俺は俺のやり方で彼女を気にかける、ただそれだけだ」(66話「魔印の二人」より引用・抜粋)
秘密だらけ謎だらけの二人による、意味深な会話でした。
相変わらず、真意が汲み取れない男ですねえ。いや案外、底知れないのはヴァニラの方なのかもしれませんが。
四人旅をし始めた時にも、ヴァニラにこうして話を持ち掛けていたけれど、単に情報共有のためなんですかね?
共通認識の確立、といいますか、或いは、他人を通して自己を確立しようとしているだけ?(雰囲気がコロコロ変わる彼だから、今の俺はこんな感じ、という確認をしているとか……)
メアリに対して、無理に優しくしない、というラムズ。
この辺は、ロゼリィさんの、「愛とは変わらないこと」に通ずるところがあるのかな、とぼんやり思いました。
危険な綱渡りでいて確実なほうへ賭けた、という表現がありますが、ラムズ自身、これを確実な方法だと思ってはいても、危険な綱渡りだとは認識していないんじゃないですかね。
ラムズがラピスフィーネに熱烈に勧誘されているシーン。
この時ばかりは全く状況が読み込めなくて、メアリと同じく呆けた顔で説明をただただ追うことしかできませんでした。いや、メアリは茫然としてはいませんか。
ヴァニラは飽きて魔植を毟っている、という一文に、なぜだか笑いが込み上げてしまいました。
運動会の校長先生の話に飽きて、前の子に小石ぶつける男子小学生みたいだな、とか、全然これっぽっちもまったく思っていませんとも!
橋の生贄、という不穏なワードが出てきましたね。
大きい川、という単語の時点で、少し嫌な予感はしていたけれど、(主要な交通拠点なため、金銭目的に盗賊がいるとか、橋を渡らせるための莫大な通行料とか、実は川が懸河で、渡り切るのに苦労するだとか)まさか生贄という直球がくるとは……。
というかなんで、ヒュドラが棲み付いているのに、そこに橋なんて掛けたんでしょう!?
どうでもいいことに興味を持っていることは承知の上ですが、とても気になってしまいます。
いや、スリーシ川全体を生息域としているのなら、どこに橋を架けても同じでしょうが、それにしたって何か工夫を──できなかったんでしょうねえ。
とんでもない大きさの怪物のようですし、それにドラゴン以外は倒せないと説明がありましたし、魔物だから(クラーケンのように使族じゃないから)殺してもいいだろうけど、ドラゴンに協力を仰ぐなんて到底無理みたいな空気ありますし……。
やっぱり水源を抑えられるのってきついですねえ。
地図を見る限り、このあたりに大きな水源はないようですし。海水と淡水じゃ話は違いますし。
けど生贄と聞いて、驚きはしましたが、そのへんの魔物の死体五匹分でいいのですか、良心的ですねとか思ってたらヒュドラ登場!
なに!? 五匹の体の大きさを均等にしないと喧嘩するとか!?
と、非常に気になるところで、視点が切り替わってレオンへ。
彼なりに、知己のミティリイルを頼りに、色々と情報を手に入れて、何かしらの動きを見せるようですね。
とりあえず、かねてよりの懸念だった、ジョーカーの嘘は晴れているようでなにより。
レオンは、その場の激情に突き動かされて離散を突き付けた、或いは、ラムズに対して元々不信感や不満を山積させていて、それが一気に爆発した感じなので、時間が経ったら冷静になったんでしょうね。
私たちの世界の人間と同列に考えてもいいのなら、怒りの持続時間はそんなに長くはないでしょうし。
クラーケン殺しの犯人はシエリさんだと判明。
まだレオンが右も左も分からなかった頃、この世界では常識とされていることにさえいちいち突っかかっていたところを見るに、
シエリさんも持ち前の正義感で、海に危険な化け物がいる、退治しなきゃ、的なノリで倒しちゃったのかもしれません。
クラーケンはなかなかの強敵ですが、レオンとは違う強大な神力を依授されていた場合、可能性はなくはないですからね。
むしろ、ラムズが言っていた、複数人で退治したという情報の信憑性は低いと見ています。
クラーケン、というより、使族を殺しちゃいけない、なんて常識、もしシエリさんの傍に現地人がいたなら真っ先に伝えているでしょうし、それでもなお「いや害悪な存在だから殺そう」ってなるほど短慮な人間じゃないでしょうし。
となるとまあ、怪しいのは誰かが彼女を利用した線ですよね。
ミティリイルについて。
長く生きているということは、それだけ己の感情と向き合ってきた、苦楽を味わってきた、辛酸を舐めてきたっていうことなのかな、と思いました。
レオンの嘘八百に泣いたり笑ったりしていた「有か無か」で知り合った男は、まだ感情をオンのままに出来るほど若いのかな、とも。
初登場時、のらりくらりとした、ラムズとは違う意味で、掴みどころがないキャラだな、と思うと同時に、絶対何かしらの裏というか、凄惨な過去とか、陰惨な感情とかがあるキャラだろうなとメタ読みしてしまいましたが、それがまあ見事に的中した形になります。
当たったところで、こんな真実じゃ、諸手を挙げて喜べませんけれど。
わざと感情を忘れていた、と表現されていましたけれど、私は、「切り捨ててきた」の方がしっくりくるなあと野暮なことを思いました。
蓋をして見ないようにした、という無責任な感じとは、またちょっと違う、何もかも分かったうえで、不要だと判断して捨て置いてきた、みたいな感じを抱いてしまいます。
「揺さぶられれば、その時の気持ちを思い出す。もう、聞かないで」
この冷たく、一見して突き放すような言葉。
自分を守るというより、レオンを気遣っているような優しさが含まれていたと感じるのは、私の都合のいい妄想なのでしょうか。
ゼシルとセブンス教について。
不必要な優しさを見せる彼だけれど、彼の地位や実力(魔士ってことは少なくとも普通の人間ほど無力ではないはず)を鑑みるに、騙すために甘言で誘う、とか、無力な人間をわざと苦境に立たせて愉悦に浸る、とかの線は薄いと推測を立てました。
前、レオンがラムズの船に乗らずに、そこらの居酒屋とかで地道に働くのはどうか、という話の時に出てきた、「本当に強い奴は、裏切られようが逆らわれようが気にしない」みたいな話の典型例だと愚考しています。
搾取するとか、憫笑・嘲笑するとか、そんな作為的なものじゃなくて、百獣の王が、満腹だから無駄な狩りをしない、的な、気まぐれの線が濃厚です。
絶対的強者にのみ許される余裕的な……。
彼が教祖だという信仰についても、レオンと同じような所感を抱いてしまいました。
神への感謝を常に忘れず、決して神を憎まず、ただ己として強く生き続けろ、ってこれまでに出てきた宗教に比べると一般的というか、普遍的な感じですよね。
レオンが警戒していたように、高価な壺を買わされたりしないし、シンボルと言える複十字を「職業柄無理ならつけなくてもいい」と言うし、信仰というよりは、日本のゆっるゆるな宗教観、道徳観みたいな感じがします。
窃盗や殺人も、明確な罰で律しているとかでもなく、「天知る地知る我知る人知る」みたいな、これまた、神様が見ているんだから悪いことしちゃダメ、という情操教育に似たようなものを感じます。
この世界では、こんな基本的な道徳観すら備わってない、と嘆きたいところですが、必要に迫られれば人を殺しても良い世界、そもそも司法や法律と言うもの機能していない世界で、道徳を説くのはお門違いですし、使族によって倫理観価値観が違うから、何が道徳的で何が非道徳的かなんて明確に分からない。
もどかしく思う反面、世界はそう簡単じゃない、と強く思わされて、奥の深さを悟りました。
ゼシルによって、レオンとシエリが邂逅したあとのシーン。
重要な単語がポンポンと飛び交っていて、処理にだいぶ時間が掛かりました。
とりあえず、ゼシル関連で重要な情報は四つ。
「ラムズと親交がある」「ルドがスワト会の関係者」「サフィアは王子様ごっこを続けている」「ペストマスクの男がくたばっている(※)」。
厳密にゼシルと関係があるのは、最初のだけですが、彼もまた、様々な情報を抱えた謎多き人物だと推察しました。
ラムズは顔が広いですし、その性格(?)からか色んな軋轢を生んでそうですから、これは特に問題視しなくていいですね。
二人がかち合うシーンとかが今後あれば、一発で分かりますから。
ルドはやっぱりスワト会の関係者でしたか、それでは予告通り、思いっきり助走をつけてぶん殴りましょう(三巻感想参照)
サフィアの件は、メアリが殺さなきゃいけない人物が、他のキャラを通して動向が少しでも語られた、っていうのは大きな成果だと思います。
ただ、よくわからないのが最後の情報。
これってミティリイルとレオンを誘拐し、彼女の元恋人を拷問したやつですよね。
レオンとミティリイルが情報収集をした「有か無か」と、レオンとシエリが無事邂逅した場所、そしてスワト会が牛耳っているのは、同じアゴールですから、不自然ではないですけど。
てっきり、ペストマスクの男もスワト会の関係者で、口封じのためにレオンたちと取引した、と解釈していましたが、違うんでしょうか?
ゼシルが大きな番狂わせを起こしたために、捨て駒として処理されてしまったとか? むむむ、謎は深まるばかりであります。
(※ 作者さんとの会話で、この認識は誤りだと分かってはおりますが、リアルタイムで感じた素直な感想を優先しているため、あえて残したままにしています。
あのあと本文を読み返したのですが、ペストマスクがある、っていう情報しかないんですよね。なんで「くたばってる」って思ったのか、不思議です)
大幅に脱線しますが、ゼシルのキャラ結構好きです。「お分かり?」が可愛い……。
話は戻って、メアリ視点へ。
死人や怪我人が出ることなく(正しい意味での生贄になってしまった冒険者には目を瞑りつつ)橋を渡ることが出来てほっとしましたね。
けれど、本当に何が原因だったんでしょう? メアリのせい──とは、完全に言い切れない気がするんですよね。
いえ、それよりも、対抗策はあれで正解だったんでしょうか……。
宝石の城にて、ラムズといちゃいちゃ(死語)(なお雰囲気)(メアリがんばれ)。
「寒いでしわ」にとてつもなく萌えました。
あと、鱗が治りかけてる?治ってる?のも幸いですね!
一時はどうなることかと思いましたが、移動に時間かかってますし(ケンタウロスでだいぶ時短しているとはいえ)、自然回復も侮れないのかも?
あれ、そういえば、レオンがかけていた魔法、神力?って、どうなっているんです?
時間の流れを止める的なやつ。いやそもそもはがれた鱗は? ラムズかメアリかが携帯しているのでしょうか。
砂糖漬けの甘い雰囲気が終始漂っていましたが、リア充爆発しろ!と言えるくらいの甘酸っぱさやもどかしさなんていうのはなく、ただ、どこか緊張感のあるシーンでした。
別に、ラムズとメアリがくっつくことに反対している訳じゃないです。
ラムズを最低な男として見ている訳でもありません。
なんでしょう……言葉で形容できない違和感がぽつぽつとあって、着々と猜疑心が育まれつつあるんですよね。
いっそ、本当に興味があるのはメアリの鱗だけで、当のメアリはどうでもいい、みたいなスタンスだったら安心して見ていられるんですよ。
というか、そうだったら、メアリもこんな苦悩や葛藤していないでしょうし、割り切れていると思うんです。
彼の本意を理解できないことが、何よりも恐怖です。
前も触れましたが、性欲の発散とか、金銭目的とか、明確な目的が明示されているのなら、多少は安心出来るんですよ。
何が目的なのか、未だに全然分からないから、ただひたすら怖いですね。
絵面としてだけなら、恋人同士の初々しい触れ合いなのですが、なぜこんなにも戦慄が走るのでしょうか。
そして、色々と進展しましたね!
フェアリーの言葉が話せる神力持ちの少年、ウィルスピアの存在が匂わされたり、胡散臭い商人アリスティーナと接触したり恋バナ(厳密には以下略)したり、リューキとはまた違う妖鬼の存在や、妖鬼の首領的な「青鬼」の話があったり(こういう話をラムズがわざわざするってことは、確実に今後出てくるってことですよね……)、子供が攫われる奇怪な事件が起こっているクリュートへ行くことになったり……。
(玩具の街に関しての感想は、第五巻の方でさせて頂きます)
ここまでで、簡単な総括をさせて頂きますと、今回は物語的な動きがない巻でしたね。
逆に言えば、あっちこっち視点が動いて、移動がたくさんある巻でした。
まあ、第3巻の終盤で、ドカンと一大イベントが起きましたし、次の巻くらいは、これくらい緩やかな方がいいのかもしれません。
メアリたちは、アゴールを去って、フェアリーと話せる神力持ち、殊人を探すために首都のベルンへ。
その際、スリーシ川に架かる橋を渡る前、ラピスフィーネとワリドーと合い、渡る時にヒュドラと一悶着。
視点が変わり、レオンは、アゴールに残り、ミティリイルとシエリを探すための情報収集をしていたけれど、スワト会に嗅ぎ付けられ、口封じ。
そのあとゼシルと知り合い、二人は邂逅し、そのあとの行方は不明。
恐らくミティリイルがレオン一行についてくることはない……と思います。
あれ、そういえばアイロスさんはどうしたんでしょう?
メアリに戻り、ケンタウロスたち(ここでは一切触れていませんでしたが、彼らもなかなか、味のある使族でした)と一時的に別れ、アリスティーナと接点を持ち、目的のフェアリーと話せる少年を知り、ギルドのおやっさんの交換条件のもと、いま、ベルンから再び移動し(このときベルンにロミューが残ってますよね)、クリュートについた、という流れですよね。
まあ、このあたりの大まかな流れは、第5巻の「これまでのあらすじ」で改めて確認出来ますし、これ以上の言及は避けましょう。
非常に密度が高い巻でした。
あっちでも何かが起きて、こっちでもトラブルが、というような感じ。
息を付く間もない反面、今まで割とゆったりだった歯車が急激に回り出した感があって、その速さに戸惑うことはあれど、冒険のワクワク感に身を委ねることができて、非常に満足です。
それと同時に、これって全部、ハイマー王国の中で起きたことなんだよな、と世界の広さに困惑しています。
話の流れで、色々な国や様々な宗教の名前は出てきたものの、実際にメアリやレオンがいるのって、まだハイマー王国ですよね。
素通りしてしまったペイナウ大陸や、いずれ行くであろう聖ナチュル国、そして、話に聞くだけでも物騒なプルシオ帝国と、まだまだ見ていない世界がたくさんあるんだ、と興奮が抑えられません。
総括といいつつ、全然出来ていないですね。
では改めて、最後に、一言で締めたいと思います。
言うなれば、「世界の広さを思い知る巻」ですかねえ、個人的な所感ではありますが。
船を離れたことによって、世界が拓けたというか、今まで、海路を旅して、島をめぐって、と、点と線の話だったのが、陸に上がることで、面になったというか……。
上手く言えないですが、そんな印象を受けました。
一言じゃ収まらなかったですね……。
毎度のことながら、非常に読みづらくて申し訳ありません。
感想の書き方というのを、正式に勉強するべきかと真剣に考え始めたところで、今回の感想を締めくくらせて頂きます。