TRPGしようぜ!

フランス→フランシス・ボヌフォワ(ひかるさん)
アメリカ→アルフレッド・カークランド(おぼろ)
カナダ→マシュー・カークランド(おぼろ)

イギリス→アーサー・カークランド(ひかるさん)
日本→キク・ホンダ(おぼろ)
ロシア→イヴァン・ブラギンスキ(おぼろ)
プロイセン→ギルベルト・バイルシュミット(ひかるさん)
ノルウェー→ルーカス・ボンネウィーク(ひかるさん)

*

【とある村 深夜】

「局長ほんとに人遣いが荒いんだって……明日でいいじゃないか(ぶつぶつと文句を言いながらパブの入口に差し掛かり)……夜分に恐れ入りまーす、お届けもの、で……?(微かに聞こえる聞いたことのないような声に言葉尻が消え)」

「っ…ん、は(カウンターの奥で仰向けに横たわったマシューに覆いかぶさり服の中に手を差し込み愛撫するような手つきで撫でながら首筋に舌を這わせる)」
「ぁ……あぁ……っ(与えられる快楽に翻弄されフランシスの下で身体が愛撫される度に跳ね揚がり)」

「……フランシス?マシュー?(名を呼ぶとはっとしてふたりから死角になる場所に身を潜めて顔を覗かせ)」

「(撫でていた手が快楽を引き出すような動きへと変え胸元や脇腹をなぞり)…マシュー、ああ、マシュー。…俺は頭がおかしくなりそうだよ(救いを求めるような苦しそうな声を漏らし)」
「ふら、しす……さ……っ、(快楽の渦に叩き落とされて思考を放棄しながらも苦しげなフランシスの頬を撫で)……なか、ないでくださ……っ」
「おかし…おかしいんだ俺は…こんな当たり前のことが出来な…でき、(錯乱しているのか首筋に埋められている顔伝いに震えが伝染し荒い息が薄皮1枚越しに伝う)」
「っん、(荒い呼吸にひくりと傍で喉が震え)……フランシス、さ……どうしたんです、か……?(快楽に溺れて理性を失いかけながらも落ち着かせるように背中を優しく撫で)」
「…(息を荒らげたまま顔を上げることなく首筋からゆっくりと胸元へと移動させ)…そう、俺はおかしかったんだ。だって目の前のご馳走達に手を出さずに粗食で腹を満たしていたからね(呼吸が治まると同時に匂いを嗅ぐように鼻で息を吸いこみ)」
「……ごち、そう?粗……食?フランシス、さん、どういう……(何かの結論に至りそうになって胸元で息を吸い込むフランシスへ恐る恐る問い掛け)」
「どういうことって、…そういう事だよマシュー(ひどく冷静な声色で答えゆっくりと胸元から顔を上げ見つめるアイリスの色は赤の色素が強く滲んでいるのか妖しげに光っている)」
「っつ!(強烈な妖しい輝きに息を呑みかたかたと身体が震え)……フランシス、さん……うそ、だって……そん、な……」
「…ああ、やっぱりお前も俺を拒むんだなマシュー。でももう、そんなことどうでもいいや(左胸に軽くキスを落とし)…いただきます」
「ひっ!フランシスさんっ!目を覚ましてっっ!!フランシスさんっ!!(フランシスの背を抱き締めていやいやと首を振り)」
「…(胸元に鋭く尖った歯を立て)夢を見ていたのは今までの生活にだよ。可愛いね、マシュー。お皿に載せてちゃんと盛り付けたい気分だけど…早く、喰わせろ(鈍い音と水音を立てて胸元の肉を喰い破り溢れる血を啜る)」
「ッ、あ゛ぁ゛っっ!(肉を引きちぎられる激痛に潰れた呻き声を上げ)あ、ぁ……っ、フランシスっ、さん……!ぁ、あ……っ(血を啜られる度に何処か恍惚としたような光が瞳を支配して少しずつ身体を差し出すように力が抜けていく)」
「(逃がすまいと両手を頭上に纏め片手で床へと縫い付け悦びに満ちた声で)ッはあ、マシュー…ああ、マシューっっ!美味しい…家畜で育てられた肉なんて比べ物にならないっっ!(血を啜りながら皮膚を食い破り臓物を守る骨を噛み砕き引きちぎった薄皮を舌でちろちろと刺激し苦痛と快楽を同時に与える)」
「ひぅ゛っ!痛い、痛いよぉ……っ!あぁ……ぁ、(苦痛に呻きながらも激痛の中に与えられる快感を律儀に拾い上げて苦しみながら甘い声が漏れ始め)っ、ぁあ……っ!ふ、らん……し、す、さ……っ!ぃ゛、あ゛ぁ゛……っっ!!(表情は段々と血の気を失せながらも快楽を得ているように甘ったるくぼんやりとした色を宿し)」

「……なんだよ、これ……(苦悶と快楽に濡れた声に空色が大きく見開き)フランシス……マシューも……なんて、幸せそうなんだ……(ふたりの嬌声と肉を引きちぎり血を啜る音に興奮して食い入るように耳を澄ませ)」

「(がらんどうになった胸元から顔を上げ前髪や頬から口にかけて施された血化粧のまま微笑み)痛い?苦しい?それとも…気持ちいい?俺はねマシュー、…最高に気分がいいよ(恍惚な光を宿したアイリスでマシューに微笑みかけながら粉々に砕けた肋骨の下から臓物を取り出し見せつけるようにキスを落とす)」
「(命を守る部位を失ってひゅうひゅうと呼吸が零れ)ふ、ら…………す、さ、ぼ、く……は……(何処か幸福そうに微笑みながら目を閉じる)」
「(自身の口に彩られた紅を指で拭い微笑みを携えるマシューの唇に塗りつけ)マシュー、これで俺達は永遠にひとつだ。…俺が人狼である事を思い出させてくれた君に感謝するよ(手に持っていた臓物に何度もキスを贈ると舌で味を確かめながら少しずつ齧っていく)」

「……(見えたフランシスの凶行に空色が輝きを増し)……フランシス、君……は、人狼だったんだね……!あぁ、なんてことだ……!(興奮を隠さずに胸元を押さえて荒く息を吐き)」
「(ごくりと喉仏を鳴らし手に付いたマシューの血を物憂げに舐め取り)…だあれ(子供に尋ねるような口調だが指先から紅い玉が垂れる銀糸を繋げながらアルフレッドの居る方向へアイリスを向ける)」
「!!(さっと身を翻して扉の陰に隠れ)……みゃぁおん(猫の真似をして誤魔化しながらも口許を真紅に濡らした美しい姿が目に焼き付いて興奮が更に増し)」
「…(銀糸毎舌舐めずりで拭い)なんだ、猫か(くつくつと何か可笑しそうに笑いながらマシューの亡骸の肩と膝の下に腕を差し入れ抱え上げ厨房からの裏口へと姿を消していく)」
「(血で濡れたマシューの幸せそうな横顔とフランシスの甘い微笑みに心臓を鷲掴みされたようにその場に釘付けになり)……フランシス……なんて、なんて幸せそうなんだ……ああ……俺も、君に食べてもらえたら……ッ(届けに来た荷物のことを忘れてその場に置き去りにするとふらふらと立ち上がって自宅へと歩を向け)」
「猫、猫か…(さして抱えているマシューの重みを感じさせることのない歩みでパブから離れ)…猫は俺に飼い慣らされてくれるのかそれとも…ふふっ」

「……っっ!!!(自宅が見えると一気に走って扉を乱暴に開けると中に滑り込んで扉に背を預け)……っは、は……っ、は……」
「(こんこんと玄関の扉のノッカーを叩く音が響き)アルフレッド、居るか?」
「!(ノッカーの音に振り向き)……ああ、いるよ。今開ける(玄関の鍵を開けて扉を開き)」
「(異端審問官の制服を着用しカンテラを片手に苦笑いを浮かべ)夜分遅くにすまないな。少しお前に…と言うか郵便物について聞きたいことがあってな」
「……郵便物?それがどうかしたのかい。それに、キクと一緒じゃないなんて珍しいね(カンテラに照らされた義兄の表情に肩を竦め)」
「キクは俺と別れて村の巡回に出向いている。…いつも俺宛に来る隣村のガウェインという男の手紙はまだ着てないか?(カンテラを持っていない手を顎に添え神妙な面持ちで首を傾げ)」
「……(記憶を手繰るように眼鏡の弦を触り)確かまだなかったと思うよ。もし明日以降の集荷だったら届くのは明後日かな。……というか、アーサー。随分変わった服着てるね」
「ああ、これか(コートの裾を摘むと腰に下げていた聖水のボトルがかちゃりと音を鳴らし)…今日は満月だからな。俺たちとしては一番警戒を怠れない日なんだよ」
「満月?……(窓に降り注ぐ月光にちらりと視線を向け)ほんとだ、今日満月なのか。気が付かなかったよ」
「(つられるように同じ窓から夜空を見上げ)満月には科学で立証出来ない不可解な現象、心理が働く。俺達の仕事で言えば人外の動きが活発になるのも今みたいに満月がはっきりと見える夜が多いんだよ」
「……そうか。人外が活発に……不可解な現象や心理……(先程見た忘れられない紅い光景を思い出してうっとりと目を閉じ)」
「…?(弟の様子に不自然に思い窓からアルフレッドへと顔を向け)アル、何かあったのか」
「(アーサーの声に緩やかに瞼を押し上げ)ああ、いや……何もないよ。いたって普通に楽しく配達仕事さ」
「それならいいんだが…(こほんと小さく咳払いし)任務で戻って来たとはいえ数年ぶりにお前やマシューの傍に居られるんだ。何かあればその…だな、相談に乗ってやらないことも、ねえ(ぶっきらぼうな口調だが頬はほんのりと紅い)」
「……ぷっ(ツンデレ発言に思わず噴き出し)うん。困ったことがあれば相談するよ、……あー、お義兄ちゃん(照れ臭そうに笑いながら頬を掻き)」
「…!(目に見えて嬉しそうな表情へと徐々に変化していくが意地があるのか唇を真一文字に締め身悶えながら)ぱ、パトロールの続きに行ってくる。アルも戸締りはしっかりして寝ろよ(玄関の方へとコートを翻しこつこつと足音を立てて歩き出す)」
「お疲れ様。いってらっしゃい(ひらひらと後ろ姿に手を振ると扉を閉じて鍵を掛け)……大丈夫さ、なにも変わってないよ。俺は何一つだって(記憶の中に映る紅く濡れたふたりの姿に欲情して表情が甘く蕩け)」

*

「(扉を閉め小さく息を吐き)…上層部には感謝しないとな。任務だと銘打って里帰りしろと言ってるようなものだからな、この村は(蛍が飛んでいる穏やかな静流の川を眺めながらパトロールの拠点となっている教会へと向かい)」
「……やあ、お疲れ様。アーサー君も拠点に戻るところ?(アーサーの姿を見つけると後ろから肩を叩き)」
「(気配なく背後に立たれ咄嗟に袖からナイフを取り出そうとするも振り返り見知った顔に溜息をつき)イヴァンか。頼むから気配消して俺の背後とるんじゃねえよ、危うく殺っちまう所だったろ」
「基本中の基本でしょ?それに、これくらいで遅れをとってちゃ審問官失格だよ(茶化すように肩を竦めて伸びをし)……本当に静かでいいところだね。この村は。審問官辞めて定住した甲斐があるなあ」
「(イヴァンの言葉に顔を顰めるも故郷である村の事を褒められると口元に小さく笑みを浮かべ)たまに人外が現れるがな。だが家の中まで入ってくることはない。ここにはそこまで力の強い人外は寄り付いてないからな」
「ふーん。……ここに異動するまでは比較的治安の悪いところばっかりだったから、小さな怪異程度で拍子抜けしちゃったけど……これはこれでいいもんね(くすりと笑って静かな帳を歩き)」
「(2人の間を縫うように蛍が飛んで行き)平和な事に越したことはない。特にここは他の村とも交流は少ないが、住んでいる村人は昔馴染みの奴等が多いからか気心が知れている故に小競り合いはあるかもしれないが大事はめったにない。騒ぐとしたら年に一度の村の祭りくらいか」
「ふふっ、余所者だった僕も温かく迎え入れてくれたもんね。……本当に村の人たちには頭が上がらないよ(追い越していった蛍を目で追い掛け)」
「(ふと何かを思い出したようにイヴァンの方へ顔を向け)そういえばお前、まだギルベルトの教会で居候になっているのか?」
「うん。家買おうかなーとは思ってるんだけど、案外あそこ居心地いいんだよね。ギルベルト君料理も上手だからごはんにも困らないし(からころと笑うと少し照れたようにアーサーの耳に唇を寄せ)……プロポーズしたら、受け入れてくれるかな?」
「は?プロポーズって…!(新緑をめいいっぱい開くと周囲を見渡しつられるように小声で)…いつかはするんじゃねえかと思ったがいよいよか」
「えへへー。……アーサー君、お先に失礼しまーす(ぱちんとウインクを決めると眉をハの字に下ろし)……早くしないと、キク君も誰かにとられちゃうよ?」
「!?!?(不意討ちを喰らった様子で口をぱくぱくと開けると徐々に顔が紅く染めあがっていき)そ、そう簡単にとられるわけないだろっ!俺だって決める時は決めるんだからなっ!!」
「ほんとかなー?(肩を竦めるとアーサーの動揺に気を良くしたように足取り軽く教会へと足を運び)……ん?なんか騒がしくない?」
「?(教会から怒号のような声が耳に届き)…確かキクは俺より教会に近いルートを歩いていたな(教会の手前で立ち止まるとコートのポケットに手を入れ)」
「……なんか胸騒ぎがする。アーサー君、急ごう!(審問官のコートを翻して駆け出し)」
「ああ、行くぞ!!(イヴァンに遅れて駆け出す)」

「ギルベルト君っ!落ち着いてください!!(ギルベルトを羽交い締めにして必死に宥め)」
「(教会の扉を開き目の前の光景に目を見開き)キク!?ギルベルトもどうした!?」
「アーサーさん!そ、それが……(ギルベルトを押さえ付けながら言いにくそうに唇を震わせ)」
「……何かあった、んだよね?外まで声が聞こえてたよ。……僕たちが不在の間、何があったの?(ふたりを諌めるように冷静な声で訊ねて首を傾げ)」
「…っ(冷静さを取り戻して来たが悔しげに唇を噛み締め)」
「……(力なく俯き)アーサー、さん……奥の、礼拝堂へ……(震える声で奥へ向かうことを促し)」
「……(只事ではないふたりの様子に小さく縦に頷くと促された礼拝堂の方へと足を向け)」
「……(アーサーの後ろに続いて礼拝堂へと向かい)」
「(ギルベルトを解放するとカンテラに火を灯し)……村の、片隅に……眠るように、おられました……っ(嗚咽を漏らして血で濡れて眠るようなマシューの姿を照らし)」
「…そ、んな…(カンテラに照らされた弟の姿に愕然としその場に膝をつき)」
「……ひどい。身体中、噛み痕?それに、これ……(左胸の損傷が激しい部分に視線を逸らし)」
「(涙と込み上げる感情を抑え)人狼だ。その鋭い歯みてえなのは間違いない。…クソッタレが!!っんでだよ!!(近くの壁に拳を打ち付け戦慄し)」
「私が発見した時にはまだほんのりと温かく……っ!(顔を両手で覆って涙を溢し)」
「……ねえ、なんでマシュー君……抵抗した痕跡がないの?それに、なんでこんなに穏やかな顔を……(今まで見たことのない死の表情に困惑を見せ)」
「……(茫然とマシューの亡骸をただ見つめやがてぶつぶつと何かを呟き)」
「アーサー君?(何かを呟き始めたアーサーに声を掛け)」
「…イヴァンの言った通り抵抗の形跡が無いこと、表情が俺達が見てきた遺体の中でも見た事のないものからして犯行はマシューが見知った人間。いやこの場合は人狼であるがなぜ噛みつきにくい心臓を狙った。普通はもっとも防御の少ない首や…(表情は虚ろな影は残したままつらつらと考察を連ねる)」
「(アーサーの言葉にはっと顔を上げ)そんな……では、村の中に既に人狼が潜んでいたということですか?マシューさんは、知人に……ッ!?」
「……うん、状況判断的にはその通りだと思う。でも、本当になんで心臓を……(眉間にシワを寄せ)」
「心臓だか首だかどうでもいいんだよ!要はその村に今も潜伏してるかもしんねえ人狼を討伐すればいいんだ!待ってろよ…っ!(壁に掛けていたスコップを手に取り)」
「だから!ギルベルト君!落ち着いてくださいっ!下手に動けば警戒されてしまいます!!(カンテラを近くのイヴァンに押し付けるとギルベルトを羽交い締めし)」
「(ゆっくりと体を起こしキクの方へ振り返り)キク、マシューを見つけた時はお前1人だったか?」
「(ギルベルトの後ろで頷き)発見時は私一人でした。ここまで遺体を運ぶためにギルベルト君のところへ戻り、二人がかりで教会へと運び……」
「…(羽交い締めされたままジト目でアーサーを見つめ)俺がキクに呼ばれて来た時も誰も居なかったぜ。おかげで大した騒ぎにはならなかったわけだが」
「騒ぎが大きくならなかっただけまだ救いかもね。……僕は村の東側をパトロールしてたけど、特に不審人物はいなかったよ」
「…人狼はもしかしたら俺達の行動パターンも知りうる可能性が高いな」
「我々の行動パターンを……?そんな、では身近な方々が人狼……?(信じられないと目が大きく見開き)」
「何にせよだ。この事はあまり大事にせず様子を見るしかない。俺達が慌てふためけば人狼の思うつぼだ。…んなこと、絶対にさせねえ(拳を強く握り新緑の奥底に憎悪に近い炎に似た光を燃やし)」
「うん。……それがいいと思うよ。これ以上被害を増やさないためにも僕たちは出来るだけ平静を保ち、巡回の回数を増やそう(アーサーの肩を何度か叩き)」
「(キクからの羽交い締めを解放され)けどどうする?お前の弟とかマシューの仕事先とかにはどう説明するつもりだよ」
「(拳をゆっくり開き掌を見つめたまま)…アルフレッドには俺が説明する」
「……もう夜も遅いです。明日の朝、説明をお願いしてよいですか?(眉間に刻まれた自身のシワを指で揉み解し)」
「勤め先ってフランシスのとこだろ?この際キクの言う通りフランシスにも伝えようぜ。あいつ、割と口はかてえし」
「じゃあ僕が行ってくるよ。ただ、僕だと余計なこと言うかもしれないから、ギルベルト君も来てくれる?(肩を竦め)」
「仕方ねえな。まだお前は慣れてきたっつっても新参者だしな。俺がちゃんとついててやるよ(心に余裕が出来始めたのか苦笑いに近い笑みを浮かべ)」
「村に対しては新参者ですー(ぷくっと頬を膨らませるが眠りに就くマシューへ目を向け)……アーサー君、マシュー君の遺体はどうする?ギルベルト君のところで埋葬してもらう?」
「そうだな。リビングデッドになってしまえばそれこそ救えない話だ。何よりこの姿をアルフレッドに見せるのは酷な事だしな(マシューの方へ振り返ると冷たくなった頬を撫で)…ごめんな。不甲斐ない兄で。ちゃんと仇はとってやるから(伏し目になった新緑が悲しみと決意に彩られる)」
「アーサーさん……(悲しそうに目を伏せて首を振り)……駄目ですね。慣れていたはずなのに、身内で被害者が出るとこんなにも取り乱してしまいます(困ったような笑みを浮かべ)」
「それが正常な反応だと思うよ。特にアーサー君は家族を喰われたんだもの。……今くらいは泣いてもいいんじゃない?(アーサーとキクの背をポンと叩き)」
「んだな。これから忙しくなりそうなんだ。今くらい泣いたっていいだろ(腕を組み壁に背を預けながらアーサーとキクに柔らかく微笑み)」
「ギルベルト君……イヴァンさんも……(困った笑みのまま目尻から雫が伝い)……済みません、本来はアーサーさんが一番悲しいはずなのに……」
「お前が一番泣き虫だってのは知ってるっての(肩を竦めながらキクからアーサーへと視線を移し)…んでアーサーが意地っ張りだってのも異端審問官時代からよく知ってるしな」
「…誰が意地っ張りだ(ジト目でギルベルトを睨み)」
「え、アーサー君でしょ?(然も当たり前のように言い退けて口笛を吹き)」
「お前らは俺をなんだと思ってんだ(腰に手を当て不服そうにふたりを睨むも緊張の糸が緩んだのか口調はどこか軽い)」
「まあまあ。……さあ、皆さん。亡き魂を弔いましょう。黄泉へと旅立った彼のためへ、鎮魂を(本来の調子を取り戻し始めながら柔らかな声で囁き)」
「ああ。…主よ。どうか貴方の御許にある故人の魂を平安にお守りください(胸元で十字を切り手を合わせ祈りの言葉を捧げ)」
「……願わくば、主による優しき眠りをお与えください(跪いて目を閉じ言葉を捧げる)」
「…(ふたりに続いて手を合わせ)…待ってろよ人狼。お前もあの世に送ってやる。…堕ちる先は地獄だ(風にかき消されそうな小声で憎悪の言葉を呟き)」
「(アーサーの言葉に魂を揺さぶられるような感覚を覚えて祈りを捧げながら目を閉じ)……アーサーさんの願いを、私は叶えます。主よ、見守っていてください……」
「…っし(祈りを捧げ終えると3人の方へ振り返り)悪いが埋葬する前にマシューの遺体をちょっと調べていいか?」
「……私は構いませんが(ちらりとアーサーの方へ視線を向け)」
「(縦に首を振り)人狼の手掛かりになるなら。ただしマシューには必要最低限で傷をつけないでくれ」
「……とのことです。出来るだけ、綺麗なお顔のままで(そっと微笑みを浮かべ)」
「わあってるよ。ここの村の奴等の埋葬は毎回俺がやってんだ。…親父やお袋だって俺が埋めたんだ。調べ終わったら成仏できるように弔ってやるさ(壁から背を離しマシューの元へ歩み寄ると柔らかな眼差しで見つめ頭を撫でる)」
「……ゆっくり眠ってね。マシュー君(ギルベルトの後ろから慈愛に満ちた視線で見つめ)」
「……アル(片割れである弟への不安が募り瓜二つなマシューの穏やかな顔を見つめながら呟き)」
「アーサーさん、大丈夫です。アルフレッドさんは生きております……(優しくアーサーの背を撫で)」
「分かってる。分かっているが…あいつがマシューのことを知ったらどうなるのか……それだけが不安でな(キクの方へゆっくりと振り返り背を撫でる手を掴むも掴んだ手からは震えが伝わり)」
「そう、ですね……おふたりとも小さい頃にアーサーさんに拾われてから、ずっと仲良しでしたから……(震えが伝わって悲しそうに目を伏せ)」
「お前から伝えるのがつれえなら俺から伝えるが(アーサーとキクの背中に声をかけ)」
「……(そっと目を上げてアーサーを見つめ)」
「(俯いたま首を横に振り)いや、これは俺が言うべきことだろう。…でないと、俺が後悔しちまう」
「アーサー君がそう決めたならそうするといいよ。疲れたよね、今日はもう寝た方がいい。……教会、泊まる?少しでもマシュー君と一緒にいたいなら……(ちらちらとギルベルトを確認しながら)」
「(キクの手をそっと離すと顔を上げ)俺はもう一度パトロールしてから家に戻る。まだ人狼が彷徨いてる可能性だってあるしな」
「では私も。まだ警戒は怠れませんし、もしかしたら人狼は『食糧』を隠していただけかもしれません。もしそうなら、そこにマシューさんがいないと気付いて……どう反応されるか(胸で手を握りしめ)」
「マシューが心臓だけ喰われちまってるってのも不可解だよな。人狼ってのは俺が見てきた経験上他の肉だって食っちまうのにそれを心臓のとこだけ喰いちぎって人目のつく所に置いとくってのはどういうことだろな。『もう腹いっぱいだ』ってことか?」
「心臓だけ食べて?……それでお腹一杯になるものかな(不思議そうに首を傾げ)」
「(両手の指の腹同士を合わせ思案し)…人狼はなぜ自分の存在が居るという証拠をわざわざ残した?それこそマシューを丸呑みにだって出来たろうし残してしまったのなら人目につかない所にマシューを置けた筈だ。なぜ危険とも言える選択肢を選んだんだ」
「……自己顕示欲の高い人狼、だから……でしょうか?いえ、でもそんな危険を犯す必要なんてないですし……身を隠していた方が人狼としては餌にありつける……(腕を組んで左足でこつこつと床を叩き)」
「人狼の心境なんて正直知りたかねえが俺が人狼ならマシューの心臓だけじゃなくて全部喰っちまって証拠隠滅を図るけどな。頭悪い人狼なのかそれとも何か企んでやがんのか…」
「今まで葬った人狼もそういった行動の方が多い印象でしたね。……それに、もしマシューさんの知り合いだとして、何故今まで人狼はマシューさんを食べなかったのか……そこも疑問に感じます」
「お腹が空いてなかったとか、目立たないように隠れてたからとか、そんな目星は立つけどね。答えにはならなさそう(肩を竦めて溜息を吐き)」
「今俺達が人狼に対して出来ることはギルベルトがマシューを調べる事と村人達を守ることくらいだ。歯痒いことに変わりないがやるしかないだろう(ふうっと息を吐くと入室する前に壁に掛けていたカンテラを手に取り)じゃあ俺はパトロールを続ける。…マシューのことは頼んだぞ」
「ええ、お願いします。アーサーさん、私は反対回りにパトロールをします。……御武運を(カンテラに火を灯して深くお辞儀をすると踵を返して足早に教会を出る)」

「…(ふたりの背中を見送り扉が閉まると同時にイヴァンの方へ振り返り)俺は早速マシューを調べてみるわ。…遺体の腐食ってのはすぐに来ちまうからな。綺麗なうちに埋葬してやりたいし」
「うん。じゃあ僕は教会の警護をするよ。検死中はギルベルト君は無防備だし、僕もそれに関しては手伝い出来ないし。……何かあったら呼んでくれる?(立て掛けていた弓を手に取り)」
「おう。…まあこの教会は結界張ってるから滅多なことは起きねえとは思うがな(苦笑いを浮かべるもふと何かを思ったのか伏し目がちにイヴァンを見つめ)…なあイヴァン」
「ん?どうかしたの?(振り向いてこてりと小首を傾げ)」
「お前らが凄腕だってのは俺がよく知ってる。知ってるけどもしキクやアーサー、それにお前が人狼に…!(はっと自分が言いかけた言葉に勢いよく左右に首を振り)…いや、悪い。不吉な事を言っちまったな」
「……。ほんと、急に何言い出すのさ。忘れてない?僕、審問官時代は弓兵のエースだったんだよ?そう簡単にはやられないって(べっと舌を出して子供のように笑い)」
「忘れてねえよ。お前が後ろに居ると背中を安心して預けられてたあの時代をよ。過酷な任務もあったけど充実した日々だってのは覚えてる。…俺が引退して平和ボケしちまったのかもな。こんなことで弱気になるなんてな(頬を掻きながらばつが悪そうに笑い)」
「うふふ、そういうこと。用心棒としてまだキャリアがあるんだから、安心してよ。……ギルベルト君、こんな悲劇は早く終わらせよう?(背伸びをしてから踵を返し)……じゃあ、ちょっと警護してくるね」
「ああ。…いってらっしゃい(イヴァンの背中に手を振りマシューの方へゆっくりと振り返り)…マシュー。いったいお前は誰にやられちまったんだよ。なんでそんなに…そんなに穏やかな顔をしてんだよ…」

「(教会の扉に身体を預け)……この戦いが終わったら、なんて死亡フラグみたい。……縁起でもないか(苦笑すると弓を構えて暗闇の中へ身を翻す)」

× 




ALICE+